慶應義塾大学SFC 環境情報学部 AO入試 志望理由書 提出例(荒川和晴研究会向け)

■ 議論の整理・・・ 

環境耐性の高さから「地上最強の生物」と称されるクマムシは,緩歩動物門Tardigradeに分類される生物で,関節を欠いた四対の肢をもち,単為生殖で増殖する。陸生種のクマムシは環境から水がなくなると乾眠と呼ばれる無代謝状態に移行し,体内の水分は3%以下まで低下するが,この乾燥環境下でも生き延びることができる。これは,陸生種のクマムシには水分を失っても生体機能を失わずに保存できる「しくみ」が備わっていることを示している。乾眠状態にあるクマムシは,さまざまな環境ストレス耐性を示し,これまでに超低温(氷点下273℃),超高圧(7.5GPa),極高真空(宇宙空間),放射線(ヒトの致死量の1000倍相当の線量),紫外線,有機溶媒などの極限環境にも高耐性をもつことが確認されている(*1)

 

■ 問題発見・・・ 

クマムシのゲノム解析は現在進行中であり,完全解読には至っていない。つまり,遺伝子型genotypeから表現型phenotypeへの相関は未解明であり,極限環境耐性を発現している遺伝子を特定できていない。

 

■ 論証・・・ 

一般に,生物は細胞から水分がなくなると細胞や生体物質が構造的に壊れることで死に至る。つまり,乾燥耐性をもつクマムシの体内組織は,なんらかのしくみにて乾燥による構造的崩壊から守られていることになる。当初はトレハロースという物質によるものと考えられたが,その後の研究で,クマムシに特異的なタンパク質(CAHSタンパク質,SAHSタンパク質,LEAMタンパク質,MAHSタンパク質)が確認されるに至り,現在はこれらのタンパク質が「しくみの正体」であると考えられている(*1)

 

■ 結論・・・ 

そこで,クマムシの飼育システム構築に成功し,クマムシの極限環境耐性機構について研究している貴学環境情報学部の荒川和晴准教授に師事し,クマムシのゲノム解析データを基に,遺伝子型genotypeから表現型phenotypeへの相関マップ作成に寄与するとともに,極限環境耐性を発現している遺伝子を特定する研究がしたいと考えている。

 

■ 結論の吟味・・・ 

クマムシの分子生物学的解析時には,そのサイズやコンタミネーションが問題になる。荒川和晴准教授らは,微量解析系の開発を推し進め,クマムシ一匹から抽出可能な約50pgのDNAから全ゲノム解析を可能にするなど,微小生物の単一個体由来の超微量DNAによる全ゲノム解析手法を確立した業績で知られている。この研究環境であれば,上述の研究ができると確信する。したがって,SFCに入学し,荒川和晴研究会に入会することを強く希望する。

 

 

 

(*1) 堀川大樹,荒川和晴.“クマムシ~極限環境を生きる究極生物 Tardigrades-Ultimate Animals Surviving Extreme Environments”,KEIO SFC JOURNAL,Vol.15, No.1, pp.246-260, 2015

 

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