慶應義塾大学SFC 環境情報学部 AO入試 志望理由書 提出例(冨田勝研究会向け)

■ 議論の整理・・・ 

生物の細胞は数多くの代謝反応が絡み合った複雑な系であるが,個々の代謝反応(酵素反応,遺伝子の転写・翻訳,タンパクのDNA結合など)は比較的容易にコンピュータ上でモデル化できる。そこで,細胞内で生じる全代謝反応をそれぞれモデル化したうえで並列に実行すれば,細胞内の複雑な生命活動がシミュレーションできることになる。これを具現化したものが,細胞シミュレータE-CELLである(*1)。これまで,実験データに基づいたより詳細なモデルを用いた研究プロジェクトが実施されている(*2)

 

■ 問題発見・・・ 

これはすなわち,実世界で起こる生命現象を記述するモデルにてシミュレーション実験を行うことにより,複雑な生命現象を統合的に解析し,潜在する因果関係を抽出することすら可能であることを意味する。そこで未だ明らかにはなっていない「正常細胞のがん化」や「がん細胞増殖」のメカニズム解明に,E-CELLのモデリング・シミュレーションを利用することを考える。

 

■ 論証・・・ 

がんは日本人の2人に1人が罹患し,3人に1人が死に至る重篤な疾患である。がんは遺伝子に傷がつくことから始まる。そして,がん化した細胞は,がん遺伝子の活性化やがん抑制遺伝子の不活性化で増殖する。正常細胞のがん化は,生物が進化の過程で獲得した「遺伝子コピー機能」に潜在する現象である。細胞増殖時の遺伝子コピーにはコピーミスが発生する。通常であればミスコピーを消滅させる防御機能が働くところ,なんらかの理由でミスコピーが生き残る。これががん細胞である。がん細胞が増殖するメカニズムは多岐にわたり,かつ複雑なため,がん細胞増殖のメカニズムは未解明である。遺伝子コピーミスが頻発する機序もまた,未解明である。

 

■ 結論・・・ 

そこで,生物細胞の代謝反応をコンピュータ上で再現する研究をリードしてきた貴学環境情報学部教授であり,貴学先端生命科学研究所長の冨田勝教授に師事し,正常細胞ががん化するメカニズムやがん細胞増殖のメカニズムについて研究を深めることで,がん罹患をモデリングしてみたいと考えている。

 

■ 結論の吟味・・・ 

冨田勝教授は,生命科学のイノベーターとして著名な学者であり,汎用細胞シュミレーションソフトウェア「E-CELL」や統合システムバイオロジーというパラダイムを発表するなど,生命科学分野で目覚しい研究成果をあげている,生命科学の泰斗である。この研究環境にて上述の研究を進めるために,SFCに入学し冨田勝研究会に入会することを強く希望する。

 

 

 

(*1) 内藤泰宏,冨田勝.“細胞シミュレーション:E-CELLプロジェクトの挑戦”,Bio Medical Engineering,Vol.16, No.1, pp.36-42, 2002

(*2) 中山洋一,冨田勝.“E-CELLシステムを用いたヒト赤血球細胞シミュレーションと病理解析への応用”,遺伝子医学,Vol.4, No.3, pp.49-53, 2000

 

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