慶應義塾大学 法学部 FIT入試 A方式 2018年 グループ討論  議論の流れと対策

■設問

  • テーマ(法律学科):
    日本の一部の高等学校では、生活指導の一環として、生徒が髪の毛を染めたりパーマをかけたりしているか、生まれつきの髪かを見分けるために、生来の頭髪に関する書類や写真を生徒側に提出させています。実施している学校側には、生徒を誤って指導することを防ぐために必要である、という考えもあります。一方で、身体的特徴を自ら証明させることは問題だ、という指摘もあります。このような「地毛証明書」制度の是非について、自由に議論してください。
  • テーマ(政治学科):
    小学生の学習意欲を高めるために親がとる方法にはさまざまなものがあるようです。この目的を効果的に達成するために、例えばテストの点数が上がった場合や宿題をした場合に、子供に褒美を与えてはどうか、という意見があります。一方で、いわば餌で釣る方法は教育的ではなく、むしろ逆効果だという意見もあります。皆さんは、これらの意見についてどのように考えますか。褒美の内容や与え方に限らず、多角的に自由に議論してください。

■想定される議論

・法律学科

それでは地毛証明書制度の是非について話し合っていきます。初めに前提条件の確認をします。現在、日本の一部の高等学校において、「地毛証明書」の提出が生徒に求められています。地毛証明書とは、将来の頭髪に関する書類や写真のことです。これが制度指導において活用されています。議論の流れとして、まず地毛証明書制度によるメリットとデメリットを挙げます。次にメリットとデメリットを比較して地毛証明書制度の是非を決めます。
メリットについて。
指導間違いすることがなくなることがメリットです。多くの学校では、髪の毛を染めないことやパーマをかけないことが校則で定められています。この校則の前提は、日本人の多くが黒髪であり、直毛であるということが挙げられます。しかし、現代の日本を見渡してわかる通り、地毛が茶色な人もいれば、パーマがかかっている人もいます。また、外国人や外国人とのハーフでは、髪の色が黒でなくても普通です。それにも関わらず、染髪禁止やパーマ禁止を校則に掲げていると、誤って生徒指導をしてしまう可能性があります。地毛で登校しているにも関わらず、指導を受けることは本来の自分を否定されることにも繋がりかねません。指導間違いをされて傷つく生徒を救うためにも地毛証明書は必要です。
このメリットについて、質問や反対意見はありますか。
《まず、確認しておきたいのですが、指導間違いを減らすことがメリットで、その重要性として指導間違いをされて傷つく生徒を減らすということでお間違いありませんか?》
はい、その認識で間違いありません。
《ありがとうございます。質問に移ります。地毛証明書があったところで指導の間違いは起きると思います。なぜなら、教師が生徒全員分の地毛証明書の内容を覚えるというのは不可能だからです。》
そこに関してはそれほど大きな問題はないと考えられます。例えば、自分の担任するクラスだけを覚えておけばいいからです。また、地毛が茶色の人やパーマがかかっている人などを優先的に覚えておけば指導間違いは防げると思います。

デメリットについて。
デメリットは2つあります。
1つ目は生徒の自由を奪うことです。日本人は黒髪の人が圧倒的に多く、茶色などの明るい色はマイノリティとなります。地毛が茶髪の学生の中には、周りと違う自分の髪色をコンプレックスに感じている人もいます。地毛証明書がなければ、そのような学生は黒く髪を染めることができます。しかし、地毛証明書の存在がそれを妨げてしまいます。したがって周りとの違いを感じて、髪を暗くしたい人の尊厳は奪われることになります。そのコンプレックスを抱えたまま、心に傷を負ってしまう生徒も出てくるでしょう。
2つ目は教育者による差別の容認が起こることです。本来、学校とは生徒を正しく教育するための場所です。もちろん、差別などという「他者との違い」をあげつらうような行為はしないように教育者は指導するべきです。しかし、地毛証明書はその根底を覆してしまいます。地毛証明書とは、自分の身体的特徴を教えるように強いるものであります。もちろん、学生の中には自分の身体的特徴に対してコンプレックスを持つ人もいるでしょう。つまり、教育者が地毛証明書の提出を義務付けるということは、学生に対して他者との違いを提示するように強いているということになります。差別を認めないはずの教育者が、差別の足がかりになるようなことを積極的に推進することは許されません。
このデメリットについて、質問や反対意見はありますか。
《2つ目のデメリットに関して質問があります。地毛証明書は指導間違いを防ぐために必要なものです。したがって、教育者が差別を容認したということにはならないと思います。この点についてどうお考えですか?》
私がここにおいて問題だと感じているのは、指導という名のもとに、学生に他者との違いの提示を義務付けているところです。差別を容認しているとまで言えるかどうかはわかりませんが、教育者が学生に身体的特徴を述べさせるというのは十分に問題だと考えられます。

メリットとデメリットの比較をします。今回提出された議論は2つのカテゴリーにわけることが可能です。メリットと1つ目のデメリットは「生徒の心の傷」という点について論じています。2つ目のデメリットは「教育者のあり方」という点について論じており、独立しております。まず、議論が衝突しているメリットと1つ目のデメリットに関して結論をつけます。メリットで述べられたように、指導間違いで本来の自分を否定されたことにより傷つく学生は一定数防げそうです。しかし、デメリットで述べられたように、周りとは違うというコンプレックスを抱えながら生活しなければならない学生は心に傷を追うことになります。このメリットとデメリットは定量的な比較をすることが困難です。つまり、心の傷という観点で考えると、地毛証明書の存在の善悪は不明です。続いて、2つ目のデメリットに関して結論をつけます。質問でもあったとおり、教育者により差別の容認などという大それたことは起こりそうにありません。しかし、教育者が学生に身体的特徴を述べるように強いるという問題は十分に起こりそうです。

結論として、地毛証明書という制度はやめるべきです。なぜなら、メリットと1つ目のデメリットのような「生徒の心の傷」という観点では優劣がつきませんが、2つ目のデメリットのような「教育者のあり方」を考えると、悪い影響しかないからです。

・政治学科

小学生の学習意欲を高めるために親が褒美を与えるべきかどうかについて話し合っていきます。まず、褒美にはどのような種類があるのか前提条件を確認します。次に褒美を与えることによるメリットとデメリットを挙げます。最後にメリットとデメリットを比較することにより、褒美の是非について結論をつけます。
まず前提条件について確認します。褒美には大きく分けて2種類のタイプがあると考えられます。結果に対しての褒美と努力に対しての褒美です。前者は「テストで100点をとったらゲームを買ってあげる」などのように、勉強の結果に対して褒美を与えるものです。一方、後者は「勉強を1時間したらお菓子をあげる」などのように、勉強の過程に対して褒美を与えるものです。これら2種類の褒美が存在するということを踏まえたうえで議論をしていきましょう。
メリットについて。
メリットは2つあります。
1つ目は、純粋に勉強の意欲が高まることです。多くの子供は勉強することが嫌いです。勉強に対して何か目的やインセンティブがない限りは、なかなか勉強に取り組むことができないでしょう。もし、褒美を与えれば、勉強するインセンティブを子供に与えることができるため、子供が積極的に勉強するようになります。
2つ目は、長期的に勉強する習慣が身につくことです。もし、褒美を与えなければ、そもそも勉強するインセンティブを持てないまま高校や大学までいってしまう可能性があります。もし、勉強する機会を与え、勉強に少しでもプラスの印象を与えることができれば、今後、自発的に勉強することができるようになります。
このメリットについて、質問や反対意見はありますか。
《1つ目の勉強の意欲が高まるというメリットに関して質問があります。確かに褒美がもらえるなら意欲が高まると思います。しかし、例えば、「テストで100点をとったらお小遣いをあげる」という目標を達成できなかったとします。それが自信の喪失に繋がり「どうせ自分は頑張ってもだめだから」という理由で意欲が下がるということはないのでしょうか?》
確かに、目標達成ができなかったせいで自信喪失をする可能性はあると思います。ただし、この前提は、褒美を結果に対して与えるという場合のみです。褒美を努力や勉強の過程に対して与えるようにすればそのような問題は起きません。例えば、「毎日1時間勉強したらお小遣いをあげる」などのように、実行しさえすれば褒美が与えられるように設定すれば問題ありません。

デメリットについて。
子供が勉強の本来の意味を失うことがデメリットです。勉強とは本来、必要な知識を得るためのものです。したがって、勉強をすること自体や知識を得ることが目的となるべきです。しかし、褒美を与えて勉強のインセンティブを与えることで、子供は褒美を得ることが目的で勉強するようになります。したがって、褒美がなければ勉強できなくなり、中学校、高校、大学と進学するにつれて勉強をしないようになってしまいます。
このデメリットについて、質問や反対意見はありますか。
《褒美をもらうことが目的になって、勉強の本来の意味を失うということでした。そこに関しては、子供が勉強をすることに対して考える余地を残すことで解決できるのではないでしょうか。例えば、「毎日1時間勉強したお小遣いをあげるよ。ただし、毎日どのように勉強するかは自分で計画を立ててみよう」などのように、自ら考える余地を考えることで、自発的に勉強を促すことができるのではないでしょうか。》
確かに例示していただいたように、褒美の与え方を工夫することによって、勉強の本来の意味を失わないように工夫することが可能かもしれません。

メリットとデメリットの比較をします。2つ目のメリットとデメリットが「長期的な視点」について論じており、1つ目のメリットは「勉強の意欲」について論じています。まず、議論が衝突している1つ目のメリットとデメリットに関して結論をつけます。デメリットで述べられているように、子供が勉強の本来の意味を失う可能性はあるかもしれません。しかし、自発的に勉強を促せるように、褒美の与え方を工夫することによって、この問題は解決できそうです。したがって、長期的に見て勉強を促せる可能性は高そうです。1つ目のメリットに関して、逆に自信の喪失になる可能性があるとの意見もありましたが、努力に対して褒美を与えるようにすれば、そのような問題も起こらず、子供の学習意欲を高めることに繋げられると考えられます。

まとめです。努力に対して褒美を与えるようにすること。努力の仕方については子供に考える余地を持たせること。以上の2点に気をつけることにより、勉強の意欲を高めることができ、長期的にも勉強を自発的に取り組むようになります。したがって、小学生の学習意欲を高めるために親は褒美を与えるべきだと考えます。

■ディベートのコツ

・法律学科

議論の整理→議論が錯綜しないように、「何について話し合うのか」、「どのように話し合うのか」を定める必要があります。今回の場合、地毛証明書のメリットとデメリットについて論じます。

それでは地毛証明書制度の是非について話し合っていきます。初めに前提条件の確認をします。現在、日本の一部の高等学校において、「地毛証明書」の提出が生徒に求められています。地毛証明書とは、将来の頭髪に関する書類や写真のことです。これが制度指導において活用されています。議論の流れとして、まず地毛証明書制度によるメリットとデメリットを挙げます。次にメリットとデメリットを比較して地毛証明書制度の是非を決めます。

問題発見及び論証→それぞれの側面から原因を挙げていきます。意見を主張するときは、その意見の根拠や背景についても触れるようにします。前提条件についてしっかりと確認するようにしましょう。

このメリットについて、質問や反対意見はありますか。
《まず、確認しておきたいのですが、指導間違いを減らすことがメリットで、その重要性として指導間違いをされて傷つく生徒を減らすということでお間違いありませんか?》
はい、その認識で間違いありません。

結論→今回のように政策の是非を問われたときは、最後にメリットとデメリットを比較しましょう。

メリットとデメリットの比較をします。今回提出された議論は2つのカテゴリーにわけることが可能です。メリットと1つ目のデメリットは「生徒の心の傷」という点について論じています。2つ目のデメリットは「教育者のあり方」という点について論じており、独立しております。まず、議論が衝突しているメリットと1つ目のデメリットに関して結論をつけます。メリットで述べられたように、指導間違いで本来の自分を否定されたことにより傷つく学生は一定数防げそうです。しかし、デメリットで述べられたように、周りとは違うというコンプレックスを抱えながら生活しなければならない学生は心に傷を追うことになります。このメリットとデメリットは定量的な比較をすることが困難です。つまり、心の傷という観点で考えると、地毛証明書の存在の善悪は不明です。続いて、2つ目のデメリットに関して結論をつけます。質問でもあったとおり、教育者により差別の容認などという大それたことは起こりそうにありません。しかし、教育者が学生に身体的特徴を述べるように強いるという問題は十分に起こりそうです。
結論として、地毛証明書という制度はやめるべきです。なぜなら、メリットと1つ目のデメリットのような「生徒の心の傷」という観点では優劣がつきませんが、2つ目のデメリットのような「教育者のあり方」を考えると、悪い影響しかないからです。

・政治学科

議論の整理→議論が錯綜しないように、「何について話し合うのか」、「どのように話し合うのか」を定める必要があります。今回の場合、地毛証明書のメリットとデメリットについて論じます。また、前提条件についても確認をします。

小学生の学習意欲を高めるために親が褒美を与えるべきかどうかについて話し合っていきます。まず、褒美にはどのような種類があるのか前提条件を確認します。次に褒美を与えることによるメリットとデメリットを挙げます。最後にメリットとデメリットを比較することにより、褒美の是非について結論をつけます。
まず前提条件について確認します。褒美には大きく分けて2種類のタイプがあると考えられます。結果に対しての褒美と努力に対しての褒美です。前者は「テストで100点をとったらゲームを買ってあげる」などのように、勉強の結果に対して褒美を与えるものです。一方、後者は「勉強を1時間したらお菓子をあげる」などのように、勉強の過程に対して褒美を与えるものです。これら2種類の褒美が存在するということを踏まえたうえで議論をしていきましょう。

問題発見及び論証→それぞれの側面から原因を挙げていきます。意見を主張するときは、その意見の根拠や背景についても触れるようにします。原因や前提条件についての質問も忘れないようにしましょう。

1つ目は、純粋に勉強の意欲が高まることです。多くの子供は勉強することが嫌いです。勉強に対して何か目的やインセンティブがない限りは、なかなか勉強に取り組むことができないでしょう。もし、褒美を与えれば、勉強するインセンティブを子供に与えることができるため、子供が積極的に勉強するようになります。
2つ目は、長期的に勉強する習慣が身につくことです。もし、褒美を与えなければ、そもそも勉強するインセンティブを持てないまま高校や大学までいってしまう可能性があります。もし、勉強する機会を与え、勉強に少しでもプラスの印象を与えることができれば、今後、自発的に勉強することができるようになります。
このメリットについて、質問や反対意見はありますか。
《1つ目の勉強の意欲が高まるというメリットに関して質問があります。確かに褒美がもらえるなら意欲が高まると思います。しかし、例えば、「テストで100点をとったらお小遣いをあげる」という目標を達成できなかったとします。それが自信の喪失に繋がり「どうせ自分は頑張ってもだめだから」という理由で意欲が下がるということはないのでしょうか?》
確かに、目標達成ができなかったせいで自信喪失をする可能性はあると思います。ただし、この前提は、褒美を結果に対して与えるという場合のみです。褒美を努力や勉強の過程に対して与えるようにすればそのような問題は起きません。例えば、「毎日1時間勉強したらお小遣いをあげる」などのように、実行しさえすれば褒美が与えられるように設定すれば問題ありません。

結論→今回のように政策の是非を問われたときは、最後にメリットとデメリットを比較しましょう。

メリットとデメリットの比較をします。2つ目のメリットとデメリットが「長期的な視点」について論じており、1つ目のメリットは「勉強の意欲」について論じています。まず、議論が衝突している1つ目のメリットとデメリットに関して結論をつけます。デメリットで述べられているように、子供が勉強の本来の意味を失う可能性はあるかもしれません。しかし、自発的に勉強を促せるように、褒美の与え方を工夫することによって、この問題は解決できそうです。したがって、長期的に見て勉強を促せる可能性は高そうです。1つ目のメリットに関して、逆に自信の喪失になる可能性があるとの意見もありましたが、努力に対して褒美を与えるようにすれば、そのような問題も起こらず、子供の学習意欲を高めることに繋げられると考えられます。
まとめです。努力に対して褒美を与えるようにすること。努力の仕方については子供に考える余地を持たせること。以上の2点に気をつけることにより、勉強の意欲を高めることができ、長期的にも勉強を自発的に取り組むようになります。したがって、小学生の学習意欲を高めるために親は褒美を与えるべきだと考えます。

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