慶應義塾大学 法学部 FIT入試 A方式 2019年 論述問題 解答例

■設問

模擬講義の概要
講義のテーマ:言語と社会を考える—言語政策とは何か?
講義の概要:
言語とは何か
言語政策とは何か
言語権について:言語と平等
欧州統合の理念:単一化に対抗する多様性の維持促進
言語と格差
経済から見る言語
日本がとるべき言語政策とは?
まとめ

*大学1年生が受講して理解できるレベルの講義(50分)を行う。

論述形式試験の概要
論述の設問内容:
講義の内容を踏まえたうえで、今後の日本に必要な言語政策のあり方について、あなたの見解を述べなさい。
解答の形式:A3レポート用紙形式・字数制限無し。
試験時間:45分

■答案構成

5STEPで書く

議論の整理→日本における言語政策とは

問題発見→日本で方言が失われつつある

論証→方言が失われる背景

解決策or結論→方言教育の導入

解決策or結論の吟味→この方策の吟味

■答案

議論の整理→日本における言語政策とは

言語とは人間同士の相互伝達の手段である。言語政策とは国家が行う、言語の統一、普及、改革などに関する方策である。日本における言語政策は、標準語の整備や英語教育の推進などが挙げられる。言語政策が行われる中で、国家における言語の単一化がなされることがある。これは相互伝達をスムーズにするため国家としては必要な手続きである。しかし、それは言語の多様性を失うことになるという危険性をはらんでいる。

問題発見→日本で方言が失われつつある

現在、国際化が進む中で、日本国内では英語教育について活発に議論がなされている。これは外部からの多様性を受け入れようとする動きである。しかし、日本内部の多様性である方言はどうであろうか。ユネスコの報告によると、日本国内の8つの言語や方言が失われる危機にある。つまり、英語などの外部からの多様性には目が向いている一方で、方言という国内における多様性は失われつつあるのだ。方言は、その土地の歴史や文化などを反映してできたものであり、これまで継承されてきた。方言が失われるということは、日本の文化や伝統が失われることと同義である。

論証→方言が失われる背景

方言が失われつつある背景は、日本における言語政策として、標準語が普及したことが挙げられる。そもそも方言は多種多様であり、関西弁のように広い地域で使われている有名なものもあれば、小さい島でしか使われていないマイナーなものもある。マイナーなものの中には、その方言を使う人でなければ理解できないようなものも数多く存在する。例えば、熊本弁で「あとぜき」という言葉がある。この言葉の意味は、「扉を開けた人がきちんとその扉を閉める」というものであるが、多くの日本人には伝わらない言葉であろう。このような方言のみを誰もが使う状況では、たとえ日本人同士であってもコミュニケーションができない可能性がある。したがって、言語の統一を図るために、言語政策の中で国家は東京弁を標準語と規定した。新聞やテレビなどのメディアの普及に伴い、標準語は日本全体に広がっていった。また、日本の国語教育の中で、標準語に基づいた指導が行われるようになった。こうした動きの中で、地方において方言を喋る人は激減した。更に、最近の若者はメディアや学校教育などを通して、標準語の中で育つことになり、方言に触れる機会が少なくなっている。これにより、自分の住む地域の方言すら理解できないという事態が容易に起こりうるのだ。現状では、高齢者を中心に話されている方言だが、今の若者が高齢者になった時、方言を使う可能性は極めて低いだろう。そうなると、将来世代の若者は今の若者よりも方言に触れる機会は少なくなる。このように、長期的な視点で考えた時、方言に触れる機会が減る負のスパイラルに陥っていることがわかる。

解決策or結論→方言教育の導入

このような背景を鑑みると、日本国内における方言の保護や継承といった言語政策は必須である。そのための方策として、各地域における方言教育を提案する。教育対象は小学生や中学生であり、自らの地域の方言を学ぶということを想定している。方言の指導方法は、英語教育を参考にする。英語教育においては、ALT(Assistant Language Teacher)と呼ばれる英語を母国語とする外国人の先生が指導にあたることがある。この狙いは、生の英語に触れる機会を創出することによる学生たちの英語力向上だ。これと同じように、方言教育でも生の方言に触れる機会を設ける。例えば、方言を喋れる地元の人を講師として招くことで生の方言に触れる機会が創出可能である。この方策によって、方言に触れる機会が極端に少なくなった若者たちが方言に触れる機会を得て、方言の保護や継承につながる。

解決策or結論の吟味→この方策の吟味

上記の方策に関して懸念点が3つある。1つ目は、方言を喋れる地元の人が講師として働いてくれるかという点である。この点は、シルバー人材センターと協力することで解決できる。シルバー人材センターとは、高年齢者の雇用を補助する公益法人である。普段から方言を喋るような高齢者にとってはまたとない雇用機会となるだろう。したがって、方言を喋れる人材の確保は可能である。 2つ目は、方言が失われつつある現状に対して、この方策がどれほどの解決性を持つかという点である。この点は、定量的に効果を示すことは困難である。しかし、上記の方策が、方言に触れる機会が減る負のスパイラルを断ち切るための第一歩として機能することは否定できない。3つ目は、上記の方策を授業として取り入れることで、国語や算数などの他の科目の時間を圧迫しないかという点である。この点は、例えば、総合的な学習の時間を活用することによって、他の科目に大きな影響を与えることなく導入することが可能である。

言語とは人間同士の相互伝達の手段である。言語政策とは国家が行う、言語の統一、普及、改革などに関する方策である。日本における言語政策は、標準語の整備や英語教育の推進などが挙げられる。言語政策が行われる中で、国家における言語の単一化がなされることがある。これは相互伝達をスムーズにするため国家としては必要な手続きである。しかし、それは言語の多様性を失うことになるという危険性をはらんでいる。
現在、国際化が進む中で、日本国内では英語教育について活発に議論がなされている。これは外部からの多様性を受け入れようとする動きである。しかし、日本内部の多様性である方言はどうであろうか。ユネスコの報告によると、日本国内の8つの言語や方言が失われる危機にある。つまり、英語などの外部からの多様性には目が向いている一方で、方言という国内における多様性は失われつつあるのだ。方言は、その土地の歴史や文化などを反映してできたものであり、これまで継承されてきた。方言が失われるということは、日本の文化や伝統が失われることと同義である。
方言が失われつつある背景は、日本における言語政策として、標準語が普及したことが挙げられる。そもそも方言は多種多様であり、関西弁のように広い地域で使われている有名なものもあれば、小さい島でしか使われていないマイナーなものもある。マイナーなものの中には、その方言を使う人でなければ理解できないようなものも数多く存在する。例えば、熊本弁で「あとぜき」という言葉がある。この言葉の意味は、「扉を開けた人がきちんとその扉を閉める」というものであるが、多くの日本人には伝わらない言葉であろう。このような方言のみを誰もが使う状況では、たとえ日本人同士であってもコミュニケーションができない可能性がある。したがって、言語の統一を図るために、言語政策の中で国家は東京弁を標準語と規定した。新聞やテレビなどのメディアの普及に伴い、標準語は日本全体に広がっていった。また、日本の国語教育の中で、標準語に基づいた指導が行われるようになった。こうした動きの中で、地方において方言を喋る人は激減した。更に、最近の若者はメディアや学校教育などを通して、標準語の中で育つことになり、方言に触れる機会が少なくなっている。これにより、自分の住む地域の方言すら理解できないという事態が容易に起こりうるのだ。現状では、高齢者を中心に話されている方言だが、今の若者が高齢者になった時、方言を使う可能性は極めて低いだろう。そうなると、将来世代の若者は今の若者よりも方言に触れる機会は少なくなる。このように、長期的な視点で考えた時、方言に触れる機会が減る負のスパイラルに陥っていることがわかる。
このような背景を鑑みると、日本国内における方言の保護や継承といった言語政策は必須である。そのための方策として、各地域における方言教育を提案する。教育対象は小学生や中学生であり、自らの地域の方言を学ぶということを想定している。方言の指導方法は、英語教育を参考にする。英語教育においては、ALT(Assistant Language Teacher)と呼ばれる英語を母国語とする外国人の先生が指導にあたることがある。この狙いは、生の英語に触れる機会を創出することによる学生たちの英語力向上だ。これと同じように、方言教育でも生の方言に触れる機会を設ける。例えば、方言を喋れる地元の人を講師として招くことで生の方言に触れる機会が創出可能である。この方策によって、方言に触れる機会が極端に少なくなった若者たちが方言に触れる機会を得て、方言の保護や継承につながる。
上記の方策に関して懸念点が3つある。1つ目は、方言を喋れる地元の人が講師として働いてくれるかという点である。この点は、シルバー人材センターと協力することで解決できる。シルバー人材センターとは、高年齢者の雇用を補助する公益法人である。普段から方言を喋るような高齢者にとってはまたとない雇用機会となるだろう。したがって、方言を喋れる人材の確保は可能である。 2つ目は、方言が失われつつある現状に対して、この方策がどれほどの解決性を持つかという点である。この点は、定量的に効果を示すことは困難である。しかし、上記の方策が、方言に触れる機会が減る負のスパイラルを断ち切るための第一歩として機能することは否定できない。3つ目は、上記の方策を授業として取り入れることで、国語や算数などの他の科目の時間を圧迫しないかという点である。この点は、例えば、総合的な学習の時間を活用することによって、他の科目に大きな影響を与えることなく導入することが可能である。
以上を踏まえて、日本に必要な言語政策は方言の教育であると考えられる。(1929文字)

 

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