慶應義塾大学 FIT入試第2次選考 法学部政治学科 2010年論述問題 解答例

2010年度FIT入試第2次選考概要(政治学科)

1.模擬講義の概要 •講義のテーマ:サンフランシスコ講和体制と戦後日本の外交

  • 講義の概要: 1.サンフランシスコ講和体制の特徴

2.対日占領政策と日本の選択(吉田路線)

3.戦後日本外交の(構造)問題

4.日本外交の将来、どう問題を克服するか、考えるヒント

*大学1年生が受講して理解できるレベルの講義(50分)を行う。

2.論述形式試験の概要 •論述の設問内容:講義では、戦後の日本外交のあり方が、国際政治的な背景から説明されました。

この説明を10行程度で要約したうえで、あなたの考えを述べなさい。

  • 解答の形式:A3レポート用紙形式・字数制限なし。
  • 試験時間:45分

 

【議論の整理】

サンフランシスコ講和体制と戦後日本の外交政策について考えよう。まず、サンフランシスコ講和体制とは、1951年にサンフランシスコで締結された「サンフランシスコ講和条約」を基にした体制である。終戦後のGHQの対日占領政策からの転換として、「吉田路線」と呼ばれる国家戦略を日本は選択した。吉田路線とは、アメリカ合衆国に日本の安全保障を担ってもらうことによって、日本は、日本国憲法の自衛権の制限の範囲内で行動し、経済成長と経済発展を国家戦略の最優先課題として、経済重視の外交を行えばよいとする考え方のことである。この考え方を基にして締結されたサンフランシスコ講和条約により、その後の日本の国際的な地位が大きく定まった。この点が、戦後日本外交の構造問題を考えるうえで、重要な論点となっている。「サンフランシスコ講和体制」とは、具体的には、サンフランシスコ講和条約によって、先の大戦の戦争状態の終結が決定し、日本の国家主権が回復したことである。それと同時に、すでに顕在化していた米ソの冷戦の中で、日本がアメリカをはじめとする西側陣営に組み込まれることが決定された。さらに、現在も続いている日米安全保障条約が同時に締結されて、日本の領土に米軍が駐留することが容認された。そして、先の大戦の賠償責任の原則放棄が決定され、賠償と請求権の処理は二国間で交渉されることになった。

 

【問題発見】

この体制において、未だに確定されていない国際関係が現在も続いていることが大きな問題である。まず、サンフランシスコ講和体制においては、中国、ソ連、北朝鮮との国交回復はその時点では、なされないままとなり、その後の日本の外交政策に大きな影響を与えることになったことだ。中国との間では、日中平和友好条約によって、日本と中国との平和的な友好関係が規定されたものの、ソ連との間では、領土問題を解決することができなかった。そのため、現在に至るまで北方領土問題が未解決のままだ。その上、北朝鮮との間では、北朝鮮が国営放送にて「日本列島を海に沈める」などと威嚇したため、北朝鮮が実験として発射する「ミサイル」が、北朝鮮の核開発問題とともに、近年大きな国際的な問題となった。さらに、国際問題となった北朝鮮を中国が瀬どりや、ミサイル発射車両の提供などで間接的に支援している事実も、その問題に拍車をかけた。さらに、近年においては、1990年代より中国・韓国などから「従軍慰安婦問題」が新たに提起されるとともに、韓国から「徴用工による賠償問題」が提起されることとなり、戦後のサンフランシスコ講和体制がどのようなものであったかを再認識する必要が生じている。

また、国内の大きな変化として、サンフランシスコ講和条約では、日本は個別的・集団的自衛権をもち、集団的安全保障条約に参加できるとされたが、日本国憲法の平和主義の規定(第9条)により、「集団的自衛権を有しているが憲法の制約があって行使できない」こととされてきた。それが近年、朝鮮半島の軍事的緊張や中国との関係悪化を受けて、「個別的・集団的自衛権とも行使できる」という政府見解に変遷したことだ。

【論証】

こういった日本外交の課題を考えるうえで重要なことは、サンフランシスコ講和体制からみて、国際情勢が大きく変化していることを認識することだ。サンフランシスコ講和体制では、アメリカをはじめとした西側陣営の仲間入りをすることが決定したが、その背景には、米ソの冷戦があった。そのため、日本の安全保障を検討する上でも、ソ連からの攻撃からいかに国家を防衛するかということが大きな課題とされてきた。

しかし、現在の国際情勢は、米露対立から米中対立に大きく変遷している。つまり、「戦後日本外交の構造問題」は、米ソ対立を基軸にしていたサンフランシスコ講和体制から、米中対立を基軸にした新体制に移りつつあると言える。

そうすると、問題の基軸ははっきりと見えてくる。まず、中国・韓国・北朝鮮から日本への揺さぶりは、かつてのソ連と同様に、国家として防衛すべきものである。特に、ウイグルでの再教育キャンプなどで人権を抑圧している中国は、経済的交流が現在も活発であるが、かつての共産主義大国・ソ連と同様に、民主主義的自由を抑圧する危険がある国家として警戒すべきである。

次に、韓国からの「従軍慰安婦問題」や「徴用工問題」については、史実に基づいたものであるのか再検討が必要である。「従軍慰安婦問題」では、慰安婦が強制連行されたという事実が未だに証言者の証言以外で見つかっていない上、徴用工問題に至っては、すでに解決済みの国際問題である点を留意すべきだ。

さらに、北朝鮮については、核開発をいち早くストップし、非核化を実現させなければいけない。非核化を確実に実現させ、日本の広島・長崎といった悲劇を繰り返させないためには、新しい法律の制定によって、「個別的・集団的自衛権とも行使できる」とする政府の方針は妥当なものだと考えられる。

最後に、ロシアとの関係は、領土問題を棚上げしてでも平和条約を締結すべきである。中国や北朝鮮が尖閣問題やミサイル問題で、威嚇をしてくる国際情勢にあっては、その背後にあるロシアからの支援が極めて重要であるためだ。現実問題としては、非常に困難かもしれないが、日本の安全保障上の立場から考えると、日露平和条約をまとめ上げることが必要になる。

【結論】

以上、日本外交の構造問題が、米ソ対立から米中対立にシフトしていることによって、サンフランシスコ講和体制からの考え方のシフトと、中国、韓国、北朝鮮、ロシアとの関係の再構築が必要であることを検討した。激動の日本外交において、国民の生命・安全・財産を守る最善の一手が求められている。

【結論の吟味】→不要

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