慶應義塾大学 FIT入試第2次選考 法学部法律学科 2007年論述問題 解答例

2007年度FIT入試第2次選考概要(法律学科)

1.模擬講義の概要 •講義のテーマ:法律概念としての「会社」の意義

  • 講義の概要: 1.はじめに

2.「会社」に関する定義規定

3.会社は社団である

4.会社は営利を目的とする

5.会社は会社法の規定に従って設立されたもの

6.まとめ

*大学1年生が受講して理解できるレベルの講義(45分)を行った。

*書画カメラを使用した。        

2.論述形式試験の概要 •論述の設問内容:講義の内容要約とそれに対する自己の見解

  • 解答の形式:A3レポート用紙形式・字数制限無し。
  • 試験時間:45分

 

【議論の整理】

法律概念としての「会社」の意義について概観しよう。まず一般常識に基づく会社とは、「同じ目的を持って仕事を行い、利益を稼ぐ集団」という程度の意味である。法律上、「会社」は、「会社法に基づいて設立された営利を目的とした社団法人」ということができる。この中で、「法人」とは、「法人格のある集団」のことをいうが、特に、「一定の目的を持って社会活動を行う組織で、かつ、法律に基づいて権利能力を付与された集団」のことを指す。また、「法人」には、内部組織に応じて財団法人と社団法人にわけることができる。さらに、営利を目的にするものを「会社」、公益を目的とするものを「公益社団法人」と呼ぶことが法律上の定義となっている。

また、「会社法に基づいて設立された営利を目的とした社団法人」たる「会社」は、株式会社、合名会社、合資会社、合同会社の4種類が認められている。以前は、株式会社と有限会社が主流となる会社の形態であった。特に、小さい規模の会社は、有限会社として設立されることが多かった。しかし、2005年に成立した会社法によって、有限会社を設立することはできなくなり、小さい規模の会社は、合同会社として設立されることが多くなっているのが実態である。

株式会社は、株式を発行して投資家から資金を募り、その資金を元手にして事業活動を行う法人のことである。日本の会社の形態は、9割以上が株式会社である。株式は公開することも非公開にすることも可能であるが、公開している株式を保有する投資家に対しては、配当金や株主優待を行うことが多い。また、出身者の責任は、株式の出資額が上限であって、有限の責任しかもたない点が株式会社制度の大きな特徴である。公開した株式は、証券取引所を通して売買される。株式の公開を上場と呼ぶこともある。上場した株式の価格は、日々価格が変動することを通して、経済全体の景気の先行指数とされることが一般的である。

一方、合同会社は、株式会社の特徴と任意組合の特徴の双方を持つ会社である。合同会社は、出資者の責任が出資額までの有限であるという点で、株式会社と同様の仕組みであるが、定款で規定を設けることによって、利益や権限を出資者以外の者にも配分できるようになる点で、任意組合と同様な制度をもっている。つまり、外側では有限責任制により出資者の有限責任が明記されておりながら、内部的には組合としての規律が適用されるという利便性をもつのが合同会社の特徴である。設立が一人でも可能であり、設立の際の費用が余りかからない点で、ベンチャー起業家の起業を後押しする制度として期待されている。

最後に、会社の債権者に対して出資額の範囲内で責任を持つ有限責任社員と連帯責任をもつ無限責任社員が混在して成り立つ会社を合資会社、債権者への連帯責任を持つ無限責任社員のみで形成される会社を合名会社という。

【問題発見】

さて、以上の議論の整理から、「日本において、起業をするには株式会社がよいか、合同会社がよいか」という問題について考える。そのためには、合同会社と株式会社の設立上の長所と短所を比較することが重要だ。なお、合名会社と合資会社はどちらも減少傾向にあるため、ここでは議論の対象からは外す。

【論証】

まず、株式会社を設立する場合の長所について考える。株式会社は、設立後の知名度が高いがゆえに、取引先や銀行での信用度が高まるという長所が存在する。合同会社の役員が「代表取締役」と名乗れないのに比べて、株史会社の代表は、「代表取締役」と名乗れることも社会的な信用を高めることにつながる。

また、株式会社は、一定の要件を満たすことによって、株式を公開し、資金調達が証券取引所を通して行うことができるようになる。そのため、資金調達を容易にし、より大きな企業に成長させる場合は、株式会社を設立したほうがよい。

しかし、メリットだけではない。株式会社の短所は、第一に、合同会社の設立のための法務局での登記手続きが8万程度で済むことに比べて、株式会社は22万程度の経費がかかる。また、株式会社は、外部の出資者から株式の出資を募っているため、決算書を毎年公開する必要がある。公開のための官報への掲載にも6万程度の費用がかかるため、情報公開の手間と費用を負担しなければいけない点に注意が必要だ(ただし、実際に決算公告している企業は少ないのが実態)。この点、合同会社は、決算公告義務がない。

さらに、二点目の短所は、株式会社では、役員の任期が最大で10年までと決められていることだ。そのため役員の改選と改選後の登記(費用1万)が必要になるという点で、役員任期の定めのない合同会社に比べて不便である。

反対に、合同会社は、設立費用が低いこと、決算公告義務がなく社員のみが経営状態を把握できればよいこと、また、出資者と取締役が一致しており、出資者自身が経営できることにより意思決定が早いことといった長所がある。ただ、一点見逃してはならない点は、合同会社であっても、株式を発行するのは、社員全員の同意あれば可能であるということだ。

【結論】

以上のことから、日本の会社制度では、まず、社会的な信用が未だ確立されていないものの、定款等で内部組織を自由に変更することができ、設立費用が安く、役員任期の制限と決算公告義務が法律上存在しない合同会社を設立するほうが、自由度が高く利便性がよい。なお、合同会社が大きくなり株式による資金調達が必要になった段階で、社員全員の同意を得て株式会社に組織変更を行い、合同会社の代表役員を代表取締役に据えて社会的信用を高めることが、会社を成長させる上で必要な考え方になるのではないかと考える。

【結論の吟味】→不要

 

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