慶應義塾大学 FIT入試第2次選考 法学部政治学科 2011年論述問題 解答例

2011年度FIT入試第2次選考概要(政治学科)

1.模擬講義の概要 •講義のテーマ:日本における内閣制度

  • 講義の概要: 1.内閣制度発足前史

2.内閣制度の創設

3.首相権限強化の試み

4.占領と日本国憲法の制定

5.平成の行政改革

*大学1年生が受講して理解できるレベルの講義(50分)を行う。

2.論述形式試験の概要 •論述の設問内容:講義の主な内容を10行程度に要約し、それを踏まえ、

 首相のリーダーシップを強化すべきかどうかについて、あなたの意見を述べなさい。

  • 解答の形式:A3レポート用紙形式・字数制限なし。
  • 試験時間:45分

 

【議論の整理】

日本における内閣制度を概観した後で、首相のリーダーシップを強化すべきかどうかについて意見を述べたい。日本においては、明治維新によって明治政府が誕生するころにまで歴史を遡ることとなる。まず、明治時代に内閣制度が大日本帝国憲法の下で発足した。当時の内閣制度では、天皇によって任命された閣僚が内閣を構成し、その閣僚が個別に天皇を輔弼(ほひつ)する責任を負うものと考えられた。その内閣制度の下では、内閣総理大臣は同輩中の首席の地位にとどまり、総理が大きなリーダーシップを発揮するような制度ではなかった。一方、戦後の日本国憲法では、まず議員内閣制を導入し、内閣は国会に対して連帯して責任を負い、衆議院の信任がなくては内閣が存続できないことが定められた。また、内閣総理大臣は国会議員の中から国会の議決によって指名され、内閣の閣僚の過半数は国会議員でなければならない旨、憲法で定められることとなった。戦前まで続いた大日本帝国憲法がGHQの占領下では、効力を失うこととなったため、日本国憲法が制定されることとなったが、現行憲法の制定により、首相の行政権の行使にあたっては、国会に対して連帯責任を負うことが明記されることなったわけである。

また、平成においては橋本内閣による「中央省庁等改革基本法」に基づき、小泉内閣によって中央省庁再編が行われた。この結果、1府22省庁が1府12省庁に再編されることとなった。この再編によって、内閣府の権限が強化され、内閣がリーダーシップをとりやすい体制がとられることとなった。

【問題発見】

しかし、国会との関係でリーダーシップがとりづらいという日本の内閣制度が抱える問題は、根本的には、内閣が国会に対して連帯して責任を負うとする「議員内閣制」を採用していることに遡らざるを得ない。議員内閣制の下では、衆議院の議員の過半数によって不信任決議案が可決され、総理大臣が辞職する可能性を考慮しなくてはならないため、衆議院の過半数の議員が反対するような行政を行うことがそもそもできないためだ。そのため、ドラスティックな改革案を行政に反映させることがなかなかできない。この点、アメリカの大統領制であれば、立法である上院・下院と、行政の長である大統領とが独立して存在しているため、現在のトランプ政権のように議会が反対する行政であっても大統領令などを通して、大統領が思い切った行政に踏み切ることができる。 そのため、首相のリーダーシップを強化すべきか否かという問題に対しては、財政的逼迫等により、行政の大きな変革が必要となっている現在の日本政府の諸情勢にあって、リーダーシップが発揮しづらい「議院内閣制」を今後も採用し続けるべきか否かが問題となると考えられる。

【論証】

この点、確かにこれまでの「議員内閣制」では、主権者である国民が選んだ議員からなる衆議院の承認を得ている状態で、内閣による行政権の行使がなされているという点で、国民主権にかなうという見方もあり得る。しかし、現在の行政権の現状は、数百兆に及ぶ資産が存在はするものの、1000兆円以上の負債を抱える状態となっており、毎年国債を数十兆円発行しない限り、一般歳出を賄うことができない状態となっている。新規国債発行による負債の増加が日本の将来世代への負担となりうる危険を考えれば、行政の無駄を省いて、行政機能をスリム化する行政改革をさらに推し進めなくてはならないのは、目に見えていることである。そういった状況にあるなかで、議員内閣制によって首相のリーダーシップが衆議院の議員によって拘束されている状況というものは、決して望ましいものとは言えない。現政権の憲法改正に賛成するというわけではないが、議員内閣制によって行政の機能不全が修正できないのであれば、議員内閣制を首相公選制もしくは大統領制に改めることを検討すべきであると考えられる。現在の間接民主制ではなく、アメリカなどのように立法議会からは独立して、直接首相を国民が選ぶ直接民主制を採用するほうがはるかにリーダーシップを発揮しやすくなるからだ。

確かに、首相公選制や大統領制によって、選挙の公正が確保されるかといった懸念や、行政の長の任期を何年にすべきかといった制度上の問題もある。しかし、選挙の公正が確保されるかどうかという問題は、すでに国政選挙ではいつも起きている問題であって、特段、首相公選制や大統領制に限って、起きる問題ではない。むしろ、一票の価値がどの地域でも平等になるため、一票の格差を生じさせない選挙として、大きなメリットを生む可能性があるのではないかと考えられる。

【結論】

以上のことから、「日本における首相のリーダーシップを強化すべきかどうか」という問題は、リーダーシップを強化させることに限界がある「議員内閣制」を改正して、首相公選制か大統領制を採用すべきであると考える。

【結論の吟味】

なお、現在、アメリカでは、共和党保守派と呼ばれる一派がトランプ氏を大統領に当選させ、大きな影響力を振るっている。マスコミには散々に報道されているものの、この共和党保守派とトランプ大統領によって、アメリカの法人税は、35%から21%にまで大きく減税されることになった。その結果は、株価が急上昇して、アメリカが好景気になり、年率4%もの経済成長をしていると言われる。年率1%程度しか経済成長ができない日本にとっては、こういったリーダーシップを発揮できるような政治制度を輸入すべきなのではないかと考える。

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