慶應義塾大学 FIT入試第2次選考 法学部政治学科 2008年グループ討論 解答例

2008年度FIT入試第二次試験概要(政治学科)

3.グループ討論の概要 •テーマ:『現代日本社会において「成人=大人になる」ことの意味』

       『インターネットが民主主義におよぼす影響』

  *グループ討論の順番によって上記テーマのどちらかが指定される。

  • 司会者の有無:教員が司会役を務めるが、進行とタイムキーピングのみを行い、受験生の自由な議論にまかせる。
  • 討論時間:60分

4.発表と質疑応答の概要 •発表と質疑応答時間の配分:各15分程度、合計30分

*自分がこれまで行ってきた活動や入学後の目標と構想を自由に表現する。

※グループ討論と発表と質疑応答の順番:午後のグループ討論と発表と質疑応答は、受験生によって順番が異なる。

■想定される議論(その1)『現代日本社会において「成人=大人になる」ことの意味』

『現代日本社会において「成人=大人になる」ことの意味』について議論します。

《「成人する」とはどういうことか?》

「成人する」ということは、まず法律上では、「単独で契約を締結することができ、かつ、親権に服する必要がなくなる年齢」ということが言える。そのため、「成人する」ということを「自分で物事を決めることができず、保護者に庇護されなければならない存在である子供」が「自分で意思決定能力を持つとされる大人」に成長することと理解されている。これが法律的な見方である。

《「大人になる」ことの意味とは何か?》

それでは、現代日本社会の中で「大人になる」ということはどのようなことであろうか?

「大人になる」ことの意味を考える場合、どのようなことが「大人になれていないのか」を考えることで、「大人になる」ことの意味を考えることも可能である。現代日本社会において、「大人になれていない」と判断されるときは、「周囲に迷惑をかけて人間関係をうまく保てない」「自分のわがままを押し通す」「周囲の忠告を素直に聞こうとしない」「相手の立場をくみ取ろうとせず、自分の立場だけを主張する」「何事も他人に責任転嫁して自分の責任を感じようともしない」「賢く振る舞えない」「自分自身の行動について自分自身で責任をとるという最低限度のことができない」と言ったことが挙げられる。つまり、「大人になる」ということは、「自分自身のことについて、自分で責任ある行動をとれるようになっていること」という最低限の条件の上に、「相手の立場を十分くみ取って、周囲の忠告を謙虚に聞き、他人に迷惑をかけることなく、賢く振る舞い、何事も自分自身の責任として感じようとする姿勢を持っていることによって、周囲との人間関係をうまく保てること」であると言える。

しかし、時と場合によっては、「大人になる」ということの意味が、異なって理解される場合もある。例えば、「大人になる」ということの意味が「一人前に人前で意見を述べられるようになること」と理解されることもあったであろう。また、「実社会の生きづらい人間関係の中で、ずるがしこく知恵を働かせて、うまく生き抜くこと」を意味する場合もありうる。つまり、現代日本社会においても、「大人になる」ということの意味には、多義性が認められるといってよい。しかし、そのすべてを検討することは不可能なため、ここでは、先に述べた通り、「相手の立場を十分くみ取って、周囲の忠告を謙虚に聞き、他人に迷惑をかけることなく、賢く振る舞い、何事も自分自身の責任として感じようとする姿勢を持っていることによって、周囲との人間関係をうまく保てること」に限って、「大人になる」ことの意味を考えよう。

《現代日本社会で「大人になる」ことの意味とは何か?》

前述の日本人の「大人になる」ということの意味は、現代的に翻訳すると、「共同体や組織に所属する一員として賢く生きる」という意味になる。なぜなら、相手の立場を十分くみ取って、周囲の忠告を謙虚に聞き、他人に迷惑をかけることなく、賢く振る舞い、何事も自分自身の責任として感じようとする姿勢を持っていることによって、周囲との人間関係をうまく保てるようになることの大きな目的は、「周囲とうまく調和しながら生きる」ということにつながっていくからだ。

まとめ

従って、『現代日本社会において「成人=大人になる」ことの意味』とは、たとえ現代であってもこれまでの日本の共同体の特質となんら変わることなく、「共同体や組織に所属する一員として賢く生きる」ことにあると考えられる。

■想定される議論(その2)「インターネットが民主主義におよぼす影響」

「インターネットが民主主義におよぼす影響」について考えよう。

《インターネットは民主主義にどのように影響を与えるか?》

インターネットが民主主義にどのように影響を与えるかどうかを考える上で、もっとも重要なことは、民主主義の実現に必要不可欠な選挙や世論動向の変化に対し、どの程度インターネットが選挙に影響しているかを考えることである。なぜなら、選挙や世論動向が変化するときには、何らかのメディアを通して国民に向けて、世論動向を変化させるような情報が伝達されているはずだからだ。

これまで選挙や世論動向の変化を起こす主なツールは、テレビや新聞、ラジオといった既存マスメディアであると考えられてきた。そこにきて、近年インターネットの普及によって、ブログやSNS、インターネットTVといった新技術が次々と現れることで、テレビ、新聞、ラジオ以外の新規メディアを通して、政治的な情報を国民が自由に取得できるようになった。そのため、テレビや新聞、ラジオといった既存マスメディアの発信する情報とは違う情報が、新規メディアを通して流れることによって、これまでの既存マスメディアのもつ世論形成力が弱まって、新規メディアの発信情報の影響を世論が大きく受けるようになった。

その一例が、2016年の米大統領選挙だ。この選挙では、トランプ候補がツイッターやフェイスブックというSNSを有効に使い、テレビや新聞の報道に対して、自分の意見を広く国民に直接発信していたことが印象的であった。そして、多くのテレビと新聞が選挙投開票開始前までは、民主党のヒラリー候補が勝利する確率が8割で、トランプ候補が勝利する確率を2割程度と見込んで、その予想勝率をネットに公表していた。ところが、実際に投開票が進むと事態は一変し、トランプ候補が選挙に勝利することとなったのは未だに記憶に新しい。こういった意味では、2016年の米大統領選挙は、「マスメディアの影響力の低下」が目に見えてはっきりした選挙だったといってよい。

まとめ

「インターネットが民主主義におよぼす影響」は、2016年の米大統領選の実例を見れば、極めて大きなものになっていると言える。一方で、これまで民主主義の制度の下で大きな影響力を振るってきたテレビ、新聞、ラジオといった既存マスメディアの影響力の低下が指摘できると考える。

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