上智大学 外国語学部 フランス語学科 編入学試験 2016年 小論文 解答例

■ 設問

次の文章は,原爆投下直後の広島で,アメリカ人とともに1人の医師として医療活動にあたった経験のある加藤周一の自伝『羊の歌』(1968年)の一節である。筆者は,ここで,最初のフランス滞在について回想している。熟読のうえ,後の設問に答えなさい。

(略)

【設問5】筆者の議論をもとに,あなた自身の外国語学習を振り返って,思うところを記述しなさい。(1000~1200字程度で)

■ 答案構成

ここでは題意を踏まえ,5ステップを目論見を立てるための思考ツールとして利用する。

議論の整理→ 英語+ドイツ語の学習履歴について記述する

問題発見→ ①文法と読解,②第二外国語,③発音の3部構成とする

論証→ 読解力向上のきっかけ,および小説文読解の特異性に言及する

解決策or結論→ 第二外国語習得のハードルの低さに具体的に言及する

解決策or結論の吟味→ 発音力改善に向けた決意表明

■ 答案

まず,第一外国語としての英語学習を振り返る。英語学習を始めて数年後のある日,単語のみならず語順もまた文意を構成する要素であることが腑に落ちた。それ以降,語順のルール(文法)に照らし合わせて文意を読み解く鍛錬を重ねたのが基礎力養成に役立った。これにより,個々の単語の意味を勝手につなぎ合わせて文意を想像する読み方から開放された。そして次のステップでは,単語の選択や時制の使い分けによる微妙な意味上の違いを分析的に読み解くことを重点的に学んだ。ここでの学習課題は,まとまった意味をもつ論説文を分析的に読むことにより,筆者の真意をいかに読みとるかにあった。ここで『入試英文精読の極意』という書に出会えたことが大きかった。大学入試で出題された論説文を題材として英文を精読する方法論を説くこの書は,字面だけを追う表層的な読み方から脱するきっかけを与えてくれた。英語学習におけるエポックメーキングは,英文に対する緻密なアプローチをこの書から学んだことである。しかし課題もある。一般論として,英語論説文の読解に利用できるパラグラフリーディングの方法論が小説文では通用しない。小説文には数々の表現的技巧が入るためである。これが確証をもって作者の意図を読みとることを困難にしている。ここに会話文が加わるとさらに難度が増す。臨場感を欠くなかで「場の空気」を想像しながら作者の真意を読み起こす必要があるためである。また,技巧が多岐にわたるため,小説文解釈法として一般化しにくい技術的事情もある。ここに小説読解の難しさがある。

次に,第二外国語としてのドイツ語学習を振り返る。ドイツ語学習,特に文法学習においては,既習の英語文法を対比軸にすることにより学習効率が良化向上したことは間違いない。これは,英語にはないドイツ語特有の文法事項(たとえば,名詞の性,格変化,分離動詞など)に焦点を絞って学習できるためである。さらに,ドイツ語は英語と同じヨーロッパ語族ゲルマン語群に属するため英語との親和性が高く,比較的容易に逐語訳が可能である。これは同じ語群に属する他言語の習得しやすさを示唆するものであり,3ヶ国語や4ヶ国語を話す欧州人が数多く存在する理由がここにある。実際に,独文英訳がドイツ語学習の効果効率を向上させることは身をもって体感した。日本語を母語とするデメリットについて改めて考えさせられた。

最後に,実会話における正しい発音の重要性について触れておきたい。これまで,正しく発音できないがためにこちらの意図が伝えきれないもどかしさを数多く体験した。なかには,不都合な話題の場合,こちらの発話を聞き取れないふりをするネイティブも少なからずいた。このような狭量なネイティブにも負けないよう場数を踏んで耳と口を鍛えることによる,発音の改善に取り組む所存である。(1166字)

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