上智大学 神学部 神学科 レポート等特定課題 2019年 小論文 解答例

■設問

あなたがキリスト教を学びたいと希望するに至った過程、キリスト教からどのようなことを学びたいと思っているかを述べなさい。

 

■ 答案構成

議論の整理→キリスト教に興味を持ったきっかけ

問題発見→価値観と宗教の関連性

論証→仏教とキリスト教の差異

解決策or結論→キリスト教を学ぶ意義

解決策or結論の吟味→不要

 

■答案

議論の整理→キリスト教に興味を持ったきっかけ

キリスト教はイスラム教、ヒンドゥー教などを抜いて世界一信者数の多い宗教である。また現在世界を牽引する経済大国トップであるアメリカも信仰する宗教とあって、世界基準となる価値観の根幹を支える宗教といっても差し支えないだろう。日本ではあまり意識することのないキリスト教だが、実は明治時代からの西洋文化の流入によって私たちの生活においてもキリスト教的価値観は至る所に根付いている。分かりやすい所で言うと、クリスマスやバレンタインデーのイベントをはじめ当たり前のように使っている西暦などもキリスト教に端を発する文化の一つである。西暦に至っては現在のワールドスタンダードともなっておりその影響力の高さも伺い知れよう。このようにキリスト教に興味を抱いたきっかけは、そうした日常を取り巻く当たり前の根幹にいくつものキリスト教としての教えや価値観が隠れていたことに気づいたことが始まりであった。そもそも宗教が最終的に形作るものは何なのか。私はそれを思想であり価値観であると考えており、そのためにキリスト教を学びたいと思い至ったのである。現在の日本で言えば、神の存在を重視しない仏教は日本人のクリスマスも正月も楽しむ文化に適合しており、かえって唯一神であるキリスト教信者はそんな日本文化の奇特さを訝しがっているのが現状だ。この両者の間に立ち塞がる価値観を理解するにはキリスト教を学ぶことが有意義であると考える。

問題発見→価値観と宗教の関連性

価値観というものは比較的環境下で形成されていくことが多い。それは両親の教えであったり家族編成であったり、受けてきた教育や周囲の人々などが大きく関わってくる。よって価値観として形成された際にはもはやそれは無意識下の思想へと変容している。その価値観を正面から理解しようとすることは中々困難であり、日本人が欧米諸国の人間とコミュニケーションをとる場合にしばしば障害となって現れる。私はその場面に直面した際に何度も歯痒い思いをしてきた人間の一人であった。なぜ相手が同じ場面に陥った際に全く異なる選択を取るのか、理解ができないのだ。そこで調べた末に辿り着いたものが思想の違いであり、いわゆる宗教の違いであった。

論証→仏教とキリスト教の差異

日本人の多くに根付く仏教思想と世界基準の思想であるキリスト教は根底からして大きく隔たりが存在する。第一に神の存在だ。キリスト教では唯一神となる全知全能の神の存在を大前提として教えが始まる。対して仏教は神と仏が存在し、神は一人ではなく海や山、土地など八百万の神が存在し仏は神より守られている存在とされている。そして第二にキリスト教の神は信仰対象とされているが、仏教における仏はさとりを開いた仏陀のことを指しさとりへの手本として説かれている。更にその教えはどのように生きるべきかどのように動くべきかという生き方の指南の形をとることが多い。その点キリスト教は愛の宗教ともいわれるほど、愛を根底に置く教えを説いている。隣人を愛し場合によっては敵も愛するという一個人間の信頼で成り立っていく考えが据えられている。そこから生まれた思想の一つがキリスト教民主主義であり、これは十戒などキリスト教の道徳的価値観が転化した代表的な例といえよう。

解決策or結論→キリスト教を学ぶ意義

よって今日における文化的差異は宗教的な差異とも考えられ、キリスト教を学ぶことによって欧米諸国に深く根付く価値観の理解を深めていくことに繫がると考えられる。またキリスト教を学ぶことにより浮き彫りになっていくと考えられるのが世界における政治的経済的文化的な流れである。冒頭でも触れたとおり経済大国としてはもちろん、政治的にも大きな勢力をなすアメリカの主流となる思想を学ぶことは時代の潮流を知る上で大きな糧となる。なぜならば当然そこにはキリスト教を根底とした価値観の上での行動が伴ってくるためだ。世界の基盤をなす宗教を知ることによってその価値観を知り、ひいては世界的規模での思想的潮流による影響を多角的に観察していきたいと考える。

 

(計1620字)

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