上智大学 外国語学部 ロシア語学科 レポート等特定課題 2019年 小論文 解答例

■設問

「ロシア語およびロシアの文化、社会をどのように学び、卒業後何をしたいか。」について述べなさい。

 

■答案構成

議論の整理→今日におけるロシアの形成とその社会的影響で生まれたロシア文化の特異性

問題発見→不要

論証→不要

解決策or結論→不要

解決策or結論の吟味→不要

 

■答案

議論の整理→今日におけるロシアの形成とその社会的影響で生まれたロシア文化の特異性

ロシアはユーラシア大陸の北半分を占める世界一の国土面積を有する広大な国家であり、ゆえにその歴史においても超大国として世界に様々な影響力をもたらしてきた。現在ロシア語の話者は世界で二億人以上存在し、英語や中国語に次ぐ世界的な言語といっても過言ではない。公用語とする国は本国ロシアの他にベラルーシ、カザフスタン、キルギスタンなどがあり、公用語でなくてもバルト三国やベラルーシにおいてもその話者は多い。その発端は歴史的背景にあり、どの国も1922年から1991年までに存在していたソビエト連邦の構成国であったことが要因として挙げられる。ロシアは1991年に崩壊するまでソビエト社会主義共和国連邦という諸国家で構成された共和国を成していた。これは1721年から広くユーラシア大陸北部の国々を支配していたロシア帝国が倒されたロシア革命を起源として設立されたものであったが五か年計画や大粛清などその内実は混乱に満ちていた。1991年の崩壊を迎えるまでに各構成国における独立への気運は高まりつつあり、その波乱に満ちた内情は気骨あるロシア文学が生まれた契機とも考えられる。「罪と罰」「カラマーゾフの兄弟」などで知られるフョードル・ドストエフスキーや、「死せる魂」で有名なニコライ・ゴーゴリなどはロシア帝国時代であった19世紀を代表する作家である。ロシア文学にみえる当時の政治や社会情勢の描写や影響は色濃く、ドストエフスキーなどは当時国際的な影響下で広がりを見せつつあった社会主義思想による知識階級層の権威的な革命思想を否定する姿勢を作品から伺うことができる。しかしロシア革命以降においては文学的自由がより開花する運びとなり、のちにノーベル文学賞受賞者となるミハイル・ショーロホフなどを始めとした新たな才能が次々と現れる。だがソビエト連邦時代に入りヨシフ・スターリンが最高権力を握るとロシア文学は次第に転落の一途を辿っていくこととなる。スターリン率いる一派であるボリシェヴィキによって文学を含めた美術や音楽などの芸術活動をプロパガンダにとして採用し、全ての芸術様式は社会主義リアリズムに統一されたためだ。しかし反骨精神旺盛な作家たちはサミズダートとよばれる秘密裏での自主出版を行い、ロシアの今日に至るまでの文学精神を細々とだが確実に育んだといえる。このようにロシアは国際的な超大国であったがゆえに波乱の歴史を歩んでおり、そこで生まれ出た文学や社会思想は他に類を見ない様相を孕んでいる。ではそのロシアの文化や社会を学ぶ意義とは何であろうか。ロシアの文化は1991年のソビエト連邦崩壊を受けてようやく日の目を見ることとなった。しかしこれまで規制されてきた歴史の代償は大きく、ロシアは自国文化を育む為の土壌づくりからの出発を余儀なくされる。しかしながら今日におけるロシアの世界的影響力は未だ健在といえる。2000年以後長期政権となるウラジミール・プーチン氏が大統領に就任すると、ロシアはソビエト連邦時代の「強いロシア」の再建を目標に掲げ堅固な姿勢で世界情勢に介入していくようになったためだ。このようにその広大な土地を有するがために数々の受難と危機に苛まれてきたロシアの文化は当時の社会情勢を背景に据える傾向が強く、また特に文学においてはその状況下に置かれた人間の苦悩や絶望を対象とした作品が多い。それゆえに今日までに世界的な評価を受ける作家がロシアからは多数輩出されている。たとえば世界的な劇作家として名高いアントン・チェーホフの四大戯曲の一つである「かもめ」は都会と田舎の二つの世界を軸に、夢を追いかける者と現実を生きる者が人生の真実を経てそれぞれの終幕に向かっていく群像劇である。その登場人物たちの抱える苦悩の底にはチェーホフ自身が体験した作家としての生活苦や才能への渇望などが存在している。また先述したドストエフスキーの「罪と罰」では更に当時の社会情勢への疑問や不安、そして批判ともとれる主張が物語を通して貫かれている。本作はある重大な罪を巡り苦悩する人間とそれを取り巻く他の人間たちの心の錯綜を描いた思想小説とされているが、その物語中には貧困層の生活苦や正当化される殺人、説かれる理想と目の前の現実に広がる乖離などが見受けられる。これは当時社会主義思想のもと行われていた知識階級の暴力的な改革への批判であり、またドストエフスキー本人が経験した思想主義による死刑に直面するまでの不当逮捕の影響が大きく映し出されている。空想的社会主義サークルへの所属により逮捕されたドストエフスキーは一度死刑判決を下されたが特赦により流刑への減刑がなされ服役を終えたのち本作を著した。私はこの社会と国家と共に歩んだロシア文学を母国語であるロシア語をもって読み進めたいと考えている。そして卒業後はそのロシアの社会情勢や思想統制をすべて内包したものとしてのロシア文学の更なる読解に貢献したい。

 

(計2004字)

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