上智大学 法学部 法律学科 レポート等特定課題 2019年 小論文 解答例

■設問

社会において法律家(広く、法についての専門的知識を有する者をいうものとする)が果たすべき役割について、最近話題となった事件や出来事などを念頭に置きつつ論じなさい。

 

■答案構成

議論の整理→法律家とは何か

問題発見→法律家の担うべき社会的役割とは何か

論証→裁判官、検察官、弁護士にみる社会的役割

解決策or結論→法律家が果たすべき社会正義の実現

解決策or結論の吟味→不要

 

■答案

議論の整理→法律家とは何か

法律家とは法律を扱う専門家としてその実務を担う法曹のことを指す。広義では特に裁判官や検察官、弁護士を指して用いられることが多い。

問題発見→法律家の担うべき社会的役割とは何か

では法律家が担う社会的役割とは何であろうか。本論では法律家の中でも代表的な裁判官、検察官、弁護士の事例を踏まえながらそこに存在し得る社会的役割について言及していきたい。

論証→裁判官、検察官、弁護士にみる社会的役割

まずは広く法律の知識を持って罪を犯した者に対し司法権のもと裁判にあたる裁判官である。先日ある裁判官がとった行動が物議を醸し、遺族が高等裁判所に対し厳重処分を求める要望書を提出するまでの事態となった。裁判官である男はツイッターにある投稿を行った。その投稿は女子高生が殺害され無期懲役が下された事件に関するものであり、男は自身のツイッターで悲惨な事件として裁判所のウェブサイトと共に投稿した。しかしこのツイッターへの投稿を事件への軽視と感じた遺族から「配慮がない」として厳重処分の要望が出されるに至ったのである。この事件は裁判官に課される社会的役割の重大さを物語っているといえる。今日において裁判官に対しSNSの投稿を規制する明確な内規は存在しない。だが法律という誰しもに課された規範を司る裁判官の言動は社会的規範としてそのまま投影される法律家という職務の性格がよく描き出された事件である。続いて事件の被疑者を裁判にかけるか判断し被告人とする検察官である。日本では検察官のみが犯人を起訴することのできる検察権を擁している。故に検察官の責務は重大なものであり、その責務を逸した時世間からの非難は異常なものとなる。記憶に新しい事件の一つに「大阪地検特捜部主任検事証拠改竄事件」がある。これは2010年大阪検察庁にて障害者郵便制度悪用事件の主任担当であった検事が証拠物件を故意に改竄し、更にその上司であった大阪地検元特捜部長と元副部長の両名も改竄の事実を知りながら隠蔽を図った事件である。本件は現職の検事が逮捕された極めて異例の事件であった。この騒動は当時の検察庁のトップであった検事総長を辞職に追い込むほどのセンセーショナルな事件であり、公訴権を持つ検察には徹底的な組織の見直しが叫ばれた。ここにおいて検察側が有する社会的役割が社会的規範の公平な運用にあると考えられる。被疑者を被告人とするかどうかは事件や犯罪を裁く法律を当事者に適用するかどうかに繋がり、法律家として社会的規範を正しく使用するためのボーダーラインとして機能する。検察の持つ検察権は大きく重要な権利であるが、そこに内在する役割と意義は更に慎重で誠実な判断を要するだろう。最後は法律の知識を持って様々な問題解決にあたる弁護士だ。法律相談はもちろん民事事件や刑事事件といったトラブルに際して依頼を受け法律事務を処理することを職務とする。その際、被疑者や被告人の捜査や裁判がメインとなる刑事事件では、弁護人として依頼人の弁護を行うこともある。このように法律家の中でも弁護士は法律を正しく使用することが責務であり、その多様性は幅広い。言うならばどのようなことに対しても法律という社会規範が存在する現在において、その使い方や扱いを教えてくれるのが弁護士である。また弁護士法の第1条1項には「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。」と定められており、法律による基本的人権の擁護こそが弁護士の社会的役割ともいえる。

解決策or結論→法律家が果たすべき社会正義の実現

さて、ここまで三つの職業になぞらえてその社会的役割をみてきたが、どれにも共通するものがあった。それは弁護士法でも述べられた最終的な社会正義の実現である。現在多種多様な文化が発生し、特に近年におけるLGBTの問題などは法的課題でありながら社会的課題の一つとして様々な議論がなされている。2019年の2月から3月にかけては「同性婚を認めないのは違憲である」として全国で初めてとなる集団提訴が予定されている。事件や犯罪だけでなくこうした社会的課題における法律家の立ち位置は非常に難しい。なぜなら法律を正しく運用することが彼らの職務であることは間違いないが、この事例でいえば本件はその法律自体を疑問視する運動となるためである。ではそのような事態に対して法律家はどの立場で職務を行うべきなのだろうか。私はそこにこそ法律家としての社会的役割が発揮されると考える。法律は社会的規範であるが、時代の流れと共にその社会を取り巻く環境は当然変容していく。するとその法律を変えるのは誰だろうか。それは法律についての専門的知識を有する法律家しか有り得ない。前述した集団提訴を例とすると、この提訴自体が法律家たる弁護士がその知識をもって導き弁護しなければ実現は有り得ず、更にその実現が叶い集団提訴が行われたとしても最終的に法律家たる裁判官が可決しなければ権利の実現には及ばない。法律の保全と正しい履行も法律家の果たすべき役割の一つであるが、その根底には常に基本的人権の擁護が据えられている。必要とあれば社会正義の実現に向けて活動することが法律家の果たすべき重大な役割といえよう。

 

(計2056字)

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