[responsivevoice_button voice="UK English Female" buttontext="Listen to Post"]

年中無休の家庭教師 毎日学習会

慶應義塾大学 法学部 小論文 1995年 解説

・ 問題文

次の文章を読んだ上で、あなたがこれまでに自 然に接してきた体験にも触れながら、著者のい う文化資源としての自然について論じなさい。

・ 問題の解き方

 5STEPsで書いていく。

・ 模範解答

議論の整理……

筆者は、古来からの日本人の持つ自然に対する豊かな感性に触れながら、そうした自然がこの二十年ほど凄まじく破壊されていることを憂いている。その上で、未だに残っている箱庭などに象徴される日本人の自然に対する感性を、狭い庭だけではなくより広い自然に対して向けることを要請している。

問題発見……

筆者が考えるように、ある民族性とその民族の周辺にある自然は、その民族が持つ文化に分かちがたく関連している。たとえば、高度な文明を持っているヨーロッパ系の人種、特にユダヤ人は不毛な砂漠の民であり、自らの知的能力に頼むところ大きく、ゆえに彼らは世界の知識産業の王者たりえる。一方、アラブ系の民族は、元来から持っている石油資源に依存し、その文化も極めて前近代的・後進的なもので、知識産業にはほとんど影響を及ぼさず、世界中で戦闘を繰り広げている。このように、その民族の周辺にある自然環境は、その民族の性質と極めて深く関連している。

こうした観点から考えると、今日の日本が貿易依存度が低く、比較的内需中心の経済を形成しているのは、我々が抱えている豊かな自然とは関係があると私は考える。

原因分析……

なぜなら、自然がある程度豊かであれば、それに依存して生活することが可能だからである。たとえば、私の母は農村の出身だが、韓国や中国と比較すると、その森林面積比率の高さから都市部の近くに農村があり、農村でも比較的豊かな生活を営めるため、人々は離農しようとしない。結局のところそれが、自由貿易を阻害し、新しい産業への雇用移転を阻害し、日本経済を弱体化させている。

一方、今日の世界で気を吐いている中国や韓国の自然は厳しい。都市部のほど近くに農村があることも少なく、必然的に人々は農村での厳しい生活を好まず、都市部へ世界へと進出しようとする。

解決策……

このように、日本の豊かな自然は、皮肉にも内向きな国民性を作っている。こうした都市部の近郊にある自然がもたらす弊害を解決するためには、私達はまずこうした自然を人為から手放すべきであろう。「田舎暮らしが自然にやさしい」といった言論は、農村在住者の存在こそが止めどない自然破壊を正当化する存在であることを無視した暴論である。極論を述べれば、農村在住者がいなければ、農村での大型公共事業の必要性はなくなり、必然的に自然は保護される。

こうした解決策を実行するためには、農村への開発投資を止めた上で、都市部への移住を促す必要がある。だが、現状、一票の格差が大きい中で、こうした農村地域を衰退させるような議論は受け入れられる可能性が少ない。まずは選挙における一票の格差の是正こそが大切である。

解決策の吟味……

また、こうした解決策はしばしば農村の不利益になるという批判を受けるが、その批判にはあたらない。現在農村に住む人々にとっても都市部に移住することは病院や学校などのサービスを受ける上でも極めて利便性が高くなり、またこうした移住者の存在が都市をも活性化させる。日本の豊かすぎる自然から離れることで、真に自然が保護されるばかりでなく、そこで暮らす人間にも大きな効用がもたらされるのである。

copyright 2016/Everyday school