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年中無休の家庭教師 毎日学習会

慶應義塾大学SFC 総合政策学部 小論文 2006年 解説

・ 問題文

問題 世論とは。何だろうか。それは今日どのようにして形成されるのであろうか。この点について次の二つの問いに答えよ。


問1 資料1,資料2,資料3を参考にして,最近,君が「これが世論である」と考えた「世論の事例」をあげて,君の考える世論の定義を述べながら,世論の形成過程について1000字以内で論じなさい。


問2 資料4の中で取り上げられた。「ネットと新聞の賭け」について。2007年に君はどちらが勝つと予想するか。自分の立場を明示して,その理由を500字以内で論じなさい。

・ 問題の読み方

 問一については、基本的な構成としては、世論についての議論の整理、世論についての問題提起、その問題が生まれてくる原因の分析、その問題の根本的原因を潰すための解決策、その解決策の吟味、という五部構成となる。

 その上で、それぞれについて抽象的に取り扱う文と、それを具体的な事例にからめて具体化した文が必要であり、後者では”最近,君が「これが世論である」と考えた「世論の事例」”を取り上げるべきである。

 特に、課題文中は凡庸であるため、端的に世論形成過程を述べている箇所に着目し、課題文を効率よくまとめていく必要がある。

 また、問二に置いては、自分が支持した立場を明確にした上で、議論を整理し、自分が反対した立場の問題点を指摘し、その原因を分析し、その原因の結果として生まれる事象を明らかにし、その推論に整合性があるか否かを吟味する必要がある。

・ SFC小論文に求められる解答の指針

 世論の事例紹介の際には、それをさまざまな学問分野から考えると良い。政治分野・経済分野・メディア分野などから考え、その上で社会心理学的な考察なども加えるとなお良い。

・ 模範解答

「問1」

議論の整理→
 「世論」とは、個人の価値観や世界観の違いによって異なる論点や意見を集積させたものだ。単純に、二項対立の議論の結果ではない。
 現在の世論は、マスメディアの力に大きな影響を受けている。例えば、選挙の投票が挙げられる。あまり問題意識や知識がないにも関わらず、「周りの人がこの党に投票しているから」などの理由で投票している人をよく見かける。このような世論で、国民の意思を反映させることができているとは思えない。

……この課題文は実際かなり難解だが、一方で読むべき部分は少ない。資料1の下記の世論形成モデルが参考になる。

1.メディアや対人コミュニケーションの中で,さまざまな世界観,価値観,利害,能力などをもった個人は,それら先行する条件のもとで特定の争点を認知する。

2.個人は,認知した争点について,メディアや対人コミュニケーションから継続的に得られる情報を参照しつつ,自らの意見を形成する。

3.当該の争点について意見を形成した個人は,その意見を共有する他者と集団を組む場合もあるし,そうではない場合もある。

4.集合的意見を形成した集団は,異なる集合的意見をもつ集団と論争したり,まだ集団に属していない人びとを説得する行動をとる。

5.何らかの手段(世論調査,選挙,討議など)により,社会全体の「意見」を集計し,その結果を「世論」として採択する。

6.政策決定者による決定がなされる。

問題発見→
 現在、特に若者の間で、このように政治への関心が薄らいでいる傾向が見られる。マスメディアの情報に流されて投票する人の一票と、自分の問題意識を持って投票をする人の一票が、同じ一票であることは問題だ。

……こうした問題意識は課題文を読むだけでは養いにくいだろう。オルデカの大衆の反逆などを読んでおいたほうが良い。

原因分析→
 若者の政治への関心が薄らいでいるのは、現時点で問題になっていることが正確に把握できていないからだ。問題を把握できていないのも、例えばテレビで放送される政治についての番組で、議論の内容が理解しにくいからだ。なぜ理解しにくいのかは、政治家やジャーナリストなど、専門知識を持っている人のみで議論されるからだ。

……ここから先は、基本的には自分で考えたことを縷縷述べていくだけの問題である。

解決策→
 そこで、政治家以外で日本の様々な職種の人々から、政治への優れた知識や興味関心を持った人を選ぶ。そして、選ばれた人と政治家で、各党に対する議論を行わせる方法を提案する。政治のことを良く知らない人々にとっては、どの党のどのような政策を選べば、結果的に自分たちの利益になるのかが分かりづらい。そこで、政治に対する高い知識・問題意識を持って議論することができる人々を選び出し、その中で議論をさせる。

解決策の吟味→
 この方法を取ることで、自分の言いたいこと、または聞きたいことを政治家ではない目線から、発言してもらえる可能性が高くなる。政治家とそうでない人によって意見が交わされるので、現代の問題をこれまでよりは容易に把握することができる。そして、この中で自分と意見を共有できる人を見つけることで、自らの意見や問題意識を形成するようになる。このような方法によって生まれる意見や論点を集計したものを、「世論」とすべきである。

「問2」

議論の整理→
 現在、世の中への新聞の影響力が、部数の低下と共に下がっている。そのような状況の中で、ネットの影響力は増し続けている。

結論→
 しかしこれからのネットと新聞の賭けについて、私は新聞が勝つと予想する。

根拠→ 
 ネットの情報というものは信憑性が薄く、間違った情報が多いからだ。ネットは匿名であるため、自由な議論ができる。しかし匿名であるがために、自分の発言に責任を持たない者も多いので、間違った情報や誹謗中傷などで溢れている。また、情報量も多いため、正確な情報と誤った情報の区別がつかない。一方で新聞の場合は、信用度の高い情報を集めることが可能だ。なぜならば、誤った情報を伝えると新聞社の信用に関わり、その新聞を読まなくなる恐れがあるからだ。したがって、新聞が勝つことが予想される。

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