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年中無休の家庭教師 毎日学習会

不登校からこの塾を作るまで

 ▽ がんばっても上がらない

 まず受験生時代、私がもっとも困っていたのは、「がんばっている(つもり)でも成績があがらない」ことでした。勉強はしていた「つもり」だったのですが、本当に悲しくなるぐらい成績があがらなかったのです。

▽ 中学レベルの勉強法

 いまにしておもえば、その原因は中学レベルの勉強法にありました。 中学校の勉強というのは、書きなぐりであったり、ノートまとめであったり。そういった非効率な方法でもどうにかいい成績が取れるのです。覚える内容そのものが少ないですから、こういったやり方でも、何度も何度も反復できる。 そして、これが大切なことですが、参考書自体も少ないので、一冊を何度も何度もやりこむことによって完璧にできる。 しかし、高校の勉強は違います。参考書もたくさんあり、ついついあれもこれもと買ってしまいます。書きなぐりやノートまとめでは追いつかないぐらいの量があります。何度も何度も反復することは出来ません。一冊を完璧にすることはできません。どんどんどんどん周りからは置いていかれます。 これが、高校生が受験勉強において陥りがちなもっともありがちな失敗です。大切なことは一冊を完璧にすることなのです。 さて、結果として、私は落ちこぼれ高校生にありがちな「どんなに頑張っても報われない努力の日々」に嫌気が差して、学校に行かなくなりました。まさかの不登校です。

▽ 不眠症

 学校に行かなくなった直接の原因は、どうにも眠れなくなってしまったことです。夜寝ようとします。眠れません。どうにかして眠ろうと思うのですが、そんなことを考えているうちに朝が明けてしまいます。 こんなことの繰り返しで、次第に精神的にも不安定になってきて、微熱や下痢がずっと続くようになりました。

▽ 音楽が聞けない

 次の異変は、音楽が聴けないことにありさまでしたた。 私は、ラルクアンシエルやニルバーナが好きで、毎日のように聴いていたのですが、どうにもうるさくて我慢ができない。寝ていないこともあって、イライラしていたのでしょうか。わけのわからない怒りみたいなものが、ぐわぁと沸いてきて抑えられないのです。

▽ 食事の味がしない

 また、食事をしていても、食事の味が分かりません。 ごはんをたべていても、お米は糊を食べているような気持ち悪さを感じながら噛まなくてはならないし、味噌汁など生暖かい水を飲むようなものです。 これには本当にかなしくなりました。これからの人生で、何かおいしいものをたべたりとか、きれいな女の子とあそんだりとか、おしゃれな服を着たりとか、そんなことはもうできないのかと。そういったあたりまえの、ささやかなしあわせがいかにかけがえのないものであるかを私はまざまざと感じました。

▽ 本が読めない

 これはわかってもらえないかもしれませんが、こうして本を書いていて思い出したことがひとつあります。それは、私はこんな本ですら、ろくに読めなくなるぐらいまで体調が悪化していたということです。 文章を読んでいると、それぞれの単語がばらばらになるような感じがします。一行の文章を読んでいるのに、どこからか裂け目ができるようにして、一行の文章が二行にも三行にも見えてきます。 そんな中では勉強もおぼつきません。 一日中、ベッドの中で布団に包まりながら、NHKの高校講座などを見ると、本当に生きているのがいやになってくる。そんな毎日を三ヶ月ほどすごしていました。あれは、本当につらかった。

▽ 病院通いととてつもない挫折感

 私の挫折感みたいなものを、より濃くしたのは、病院通いでした。学校に行く高校生たちを尻目に、人には見られないように実家から一時間もかかる病院にタクシーで行き、睡眠薬をもらう。これだけのことが私にはものすごく堪えました。 周りの患者さんは、なんだかうなだれたような、気力がないような、そんな感じの表情をしています。しかし、外に出れば、楽しそうな高校生や大学生の姿が見て取れます。私は絶対に知り合いには見つからないようにやりすごさなければなりませんでした。 私の通っていた高校は、地元ではそこそこ名前の知れた中途半端な進学校でした。ですから、きっとエリート意識みたいなものもあったのでしょう。自分がレールから外れてしまった、もはやまともな人間であることすらできない。こんなことを考え続けては、悲観に暮れる日々でした。

▽ 世界から見捨てられた気分

 この気分はきっと、こうした経験をしたことがある人でなければわからないでしょう。人にわかってほしいとすら思いません。こうして本を書いているのは、こんな自分でもどうにかなったのだから、あなたにも希望を捨てずに頑張って欲しいという励ましの気持ちから来るものです。自分の悲惨な境遇を理解して欲しいとはまったく思っていません。 世界から見捨てられた気分。 まさしく、それが不登校・不眠症・引きこもり時代の偽りない自分の気持ちでした。もう自分は、この世界ではまともに生きていけないと思っていました。 事実、不登校の高校生が、大学に進学する確率は、ボーダーフリーのFランク大学をふくめても一割に満たないといわれています。そんななかで私は慶應SFCに入学することができたのですから、やはりこの経験は世の中に残さなくてはと思います。

▽ 勝ち組と負け組

 わたしがこうした経験から学んだことを一言に集約すれば、結局のところ、世の中というのは、勝者が正義で敗者が悪であるということです。どれほど勉強して努力していても、それが結果に結びつかなければ、だれも評価してくれません。こういう話をすると、自分の心の中での満足感や自信が得られれば良いという人もいます。しかし、人は周りから非難された上に、自分の体調さえ芳しくないときに、満足感を感じられるほどには強くありません。 勝つことこそすべて、なのです。

▽ 復帰時の成績

 さて、どうにかして、学校に戻ったのですが、そのときの成績はひどいものでした。 いまでも、はっきり覚えているのは、数学のテストで、五点をいただいたことです。学年での順位は、313/320位。 他の教科でも、赤点をとらないほうが珍しいぐらいの惨状です。

▽ 自習室にひきこもった二年生の夏休み

 さすがにこの成績はまずいということで、私は自習室にひきこもることにしました。

▽ まったく上がらない成績

 さて、私はさくさく勉強をすすめてまいりました。 勘で現代文を解き、助動詞と単語と主語と対象語と敬語を無視して古文を読み、書き下しもできないうちに字の雰囲気で漢文の意味を類推し、作文のように小論文を書き、数学の答えをがんばって写し、英語の文法書は丸写ししたうえで、ろくに文法の問題集もやらず、DUOとターゲットと速読英単語を最初の一ページだけ完璧にし、文章は丁寧に後ろから前に読むようにして解釈をし、独特の日本語訳を書く技術を習得した上で、理科と社会においては、がりがりと覚えたい内容を二十回書くということをしておりました。 このすばらしい奇跡の勉強法で成績が上がったら……まぁ、奇跡ですよね。 しかし、心当たりがある人も多いのではないでしょうか?

▽ 東北大医学部の先輩

 そんなときに知り合ったのが東北大医学部の先輩でした。 私の勉強しても、成績が上がらないことに、見るに見かねたのでしょう。先輩から教えていただいた、とっておきの記憶法が私の人生を変えました。

▽ 記憶を定着させるには

 多くの人が、覚えることに困難を感じるのは英単語です。 ですから、まずは、英単語の覚え方から先輩は話を始めました。

「英単語を覚えるときに、意味を一対一対応で覚えようとする人がいるだろ? でも、それは効率がわるい。それよりなら、『速読英単語』を一冊丸暗記したほうがいい」

「そんなことできるんですか?」

「できる。誰でもできる。地頭に関係なく」

「どんなふうにやるんですか?」

「まず、一週間目は一章だけやる。文章の解釈もノートにまとめてね。二週間目は一章と二章、三週間目は一章から三章、四週間目は二章から四章、五週間目は三章から五章、というふうに、ひとつずつずらしていく」 「どれぐらいやればいいんですか?」

「一日三回、週五回、三週間。合計四十五回。これだけでいい。かかる時間は一日に一時間もかからない。記憶効率からいって、寝る前にやるといい」

 その話をうかがったとき、そういえば、と私はおもいだしました。 それは学習障害を持つ中学校時代の友人が、三十回の音読を経て、暗誦に成功したことです。これはなるほど、いい方法だと思ったのですが、多くの受験生がそうであるように、どこか半信半疑ですぐに実行することはできませんでした。

▽ スピードについていくには

 さて入試も直前に迫り、とうとう速読英単語やリンガメタリカをCDを聞きながら追うようにして読むのですが、困ったことがありました。それは、音声CDのスピードがあまりに速すぎて、うまく合わせられないということです。 この問題を解決するために、以下のようなステップを取りました。

一、英文と日本文に対応する番号を振る。

二、意味のまとまりで文章を区切る

三、分からない単語の上に日本語訳を書く

四、文構造がわからなければノートにまとめる

五、わからなくても最初の単語だけ発音してみる

六、だんだん単語を増やしてみる

七、最終的にすべて読めるようにする

▽ 私が本格的に受験勉強を始めたのは三年生の冬休みからでした

 しかし、みのもんたがココアを勧めても、飲み続ける人が少ないように、私もすぐにこうした方法を実行に移したわけではありませんでした。 まず、そもそもこれは地頭を必要とする勉強法なのではないかという疑念がありましたし、実際前述したように、実行する上でのボトルネックもあったので、なかなかうまくいかなかったのです。 いろいろとムダな勉強をした末に、とりあえず三年生の最後の冬休みの二週間でどうにか単語の意味が理解できる程度にまで単語集を仕上げました。つまり、私が本格的に受験勉強を始めたのは三年生の冬休みからでした。そして、そのまま受験に突入したのです。

▽ まさかの高熱

 受験当日のコンディションは最悪でした。 滑り止め受験の前日に人間関係(というか男女関係)で少し不愉快なことがあり、すべり止めを受験したその日に、嘔吐と下痢が止まらず、38.5℃の高熱を出してしまったのです。 とりあえず、点滴を打って横浜に行ったのですが、まったく勉強することもできずに、高熱が続いたまま、受験直前の日々がすぎていきました。

▽ 英語語法

 わたしは、問題を解くときに必ず自分なりの方法論をもって臨んでいました。 SFCの英語は難しいことで有名ですが、文中の選択問題では語法と読解しか出ないことでも有名です。文法はほとんど出てきません。 語法の攻略法は極めて簡単で、語源(接頭辞・語幹・接尾辞)に分解して、単語の意味を類推することです。

▽ 英語読解

 読解についても、逆接・否定・対比・不等号・例示のそれぞれにマークをつけながら、読み進めていく方式を取りました。 もちろんすべて精読するのですが、文章のいうのはも左から右に読み進めるごとに、前の文章の印象が消えてしまうものです。どこにどんなことが書いてあったかさえも、よくわからなくなってしまう。思い出せなくなってしまう。読解においては、往々にしてそういうことがあります。 それを防ぐためには、しるしをつけることが大切です。そういう意味で私はディスコマーカーを多用していました。また、段落ごとに日本語で短いメモを取ることで、前の文章の記憶を定着させていきました。

▽ 小論文と英文読解の背景知識

 もうひとつは、背景知識の習得です。 これは、リンガメタリカとアカデミックの計六冊を半年で暗誦することで、英語の勉強と両立させつつ習得します。時間がなければ、リンガメタリカ一冊を一ヶ月で暗誦するのでもかまいませんし、文系部分を二週間で暗誦するのでもかまいません。

▽ 方法論の大切さ

 最悪の状況でも、どうにか合格を勝ち取れたのは以上のような揺るがぬ方法論があったからです。方法論は受験勉強をする上で、もっとも大切なものです。そんな方法論を教えたいと考え、私はこの塾を作りました。

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