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年中無休の家庭教師 毎日学習会

慶應義塾大学SFC 環境情報学部 小論文 2007年 解説

・ 問題文

 環境情報学部の教授になったつもりでSFCで展開する新しい研究プロジェクトを提案してください。

 資料-1はSFCホームページから抜粋したもので,SFCの理念と現在どのような研究プロジェクトが行われているかの一部を例として紹介しています。

 提案するプロジェクトはすでにSFCに存在するプロジェクトの一部を分担するようなもの,あるいはまったく新規のものでもよいし,分野横断型のものや総合政策学部と連携したものあるいは他機関と連携して行うものでもかまいません。また理論的な基礎研究でも実践的な応用研究でもどちらでもかまいませんし一人で行う研究でも,大人数のグループで行う研究でもかまいません。

(1)研究プロジェクトのタイトル。研究内容が推測できるような具体的な文言で35字以内。

(2)研究期間(年),研究費総額(円)および研究費申請先(SFC内部資金,○○企業,○○省,など)

(3)プロジェクトの説明。背景・目的,手法・プロジェクトメンバーの人数・年次計画,期待される効果などについて,自由になるべく具体的に記載してください。枠内からはみ出さなければ原稿用紙の一部を図・イラストなどのために割いてもかまいません。提案するプロジェクトをSFCで実施することの意義・優位性を明確にしてください。(解答欄:35字×18行《630字〉)

(4)このプロジェクトに環境情報学部生を参加させる場合,教授であるあなたはその学生にSFCでどんな勉強をすることを勧めますか(資料2)。それはなぜですか。(解答欄:35字×6行〈210字〉)

 (SFCに入学した場合,本小論文に記載されたことになんら縛られることなく,自由に研究テーマを決めることができます。)

・ 問題文の読み方

 問題文の読み方としては、まず解答順序を間違えないことが大切な問題です。
 えてして、多くの方は、(1)→(2)→(3)→(4)という順番で問題を解くことが多いのですが、これはあまり得策ではありません。なぜならば、こうした解き方をすると、多くの文字数を使う問題で詳細を書き込んでいるうちに新たな発想が浮かんでも、それを他の問題に反映できないからです。小論文は筆算に近いところがあり、小論文を書き終える前と書き終えた後では、相当考え方が変わっているということも多々あります。そういったことを考えると、文字数が多い順番に解く、この場合だと、(3)→(4)→(2)→(1)という順番で解くのが順当です。

 こうしたテクニックを頭に入れた上で、それぞれの問題の解き方について見ていきましょう。

 まず、(3)についてですが、問題文の指定にあるように
i. プロジェクトの説明
ii. 背景・目的
iii. 手法・プロジェクトメンバーの人数・年次計画
iv. 期待される効果
 という構成で書いてはいけません。このような形で書くと深みのある思考ができなくなります。

 小論文の5STEPSから、
議論の整理……これから取り上げるテーマについて、現在どのような共通の前提と論点があるのか?→ii. 背景・目的
問題発見……どのような問題があるのか?→ii. 背景・目的
原因分析……その問題の原因はなにか?
解決策……その問題の解決策は何か?→i. プロジェクトの説明&iii. 手法・プロジェクトメンバーの人数・年次計画&iv. 期待される効果
解決策の吟味……その解決策と他の解決策を比較したらどうか? 利害関係者はいるか?
 という順番になるように書き、それぞれに指定された要素を練り込みましょう。

 (4)については字数的に、結論・根拠・具体例の順で書きましょう。

結論……SFC生になにを学ばせたいか?
根拠…‥それはなぜか?
具体例……具体的にはどのような事例からそう考えたか?

 (2)(1)は(3)(4)のまとめなのでさほど難しくないでしょう。

・ SFCが求める解答への指針

 まず、このプロジェクトを考える上で大切な3つの原則があります。

a. 学際領域の研究であること
b. SFCが持ちうるデーターベース・研究成果(技術)などを有効活用していること
c. SFC以外の組織が出来ない構造を持っていること

 です。それぞれについては、「SFC企画書形式小論文入問」で説明するので、ここでは割愛させていただきます。

 さて、これらのテーマに適合するようなアイディアはさまざまあると思いますが、どのようにテーマを絞るべきでしょうか?

 私がおすすめするのは、Newtonのバックナンバーなどを読んで印象に残ったアイディアを書き留めておくことです。その上で、既存のアイディアとの組み合わせなどでどんどんアイディアをストックしていきます。

 たとえば、Newtonで低予算ロケット・衛星についての記事がありましたが、私はこれとフリーWi-Fiについての記事を掛けあわせ、安価な衛星を飛ばすだけで北朝鮮のような独裁国家全土にインターネット接続を行き届かせ、世界の民主化を促進するアイディアを考えました。こうしたアイディアの出し方は、「SFC企画書形式小論文入問」で取り上げているのでご覧いただければと思いますが、まずはこのアイディアの場合どのように解答を書くべきかを考えましょう。

 まず、小論文の5STEPSから、

議論の整理……これから取り上げるテーマについて、現在どのような共通の前提と論点があるのか?→ii. 背景・目的

共通の前提→二十世紀後半は、人類が指導者に拠る独裁的な支配から逃れ、より自由でより機会が平等な社会へと向かっていく時代であった。
議論の論点→だが、自由を勝ち得た国もある一方で、旧共産主義圏を中心に、未だに言論の自由が保証されていない国も多々ある。

問題発見……どのような問題があるのか?→ii. 背景・目的

問題発見→独裁的な発展途上国によるこうした情報の非対称性の拡大は、世界の進歩を遅らせ、人類社会が本来得るべき果実を減らすという意味でも深刻な問題であるといえる。
解決可能か?→こうした問題は、過去、意図しない情報の流出で解決されることが多かった。たとえば、旧ソ連ではビートルズの楽曲が流出したことがきっかけで、その後の民主化を後押しした事例もある。このようなこうした問題の解決は情報を半ば強制的に伝搬させることで十分可能である。

原因分析……その問題の原因はなにか?

原因A→このような問題は、情報を流通させるための媒体が独裁国家では厳しく禁じられているために起こる。
原因B→なぜこうした政府当局による規制が機能するのかというと、従来のインターネット接続が、無線・有線問わず、基地局から数km圏内でしか有効性を持たなかったためである。
原因C→このようなインターネット接続状況を生み出したのは、インターネット通信に利用される電波が距離を減るごとに弱まる性質をもっていたためである。

解決策……その問題の解決策は何か?→i. プロジェクトの説明&iii. 手法・プロジェクトメンバーの人数・年次計画&iv. 期待される効果

根本的な原因を潰す解決策&プロジェクトの説明&年次計画→そこで、こうした問題を解決するために、インターネット通信に用いる電波の距離を経るごとに起きる消耗を改善するための方法を考えたい。
手法・プロジェクトメンバーの人数→そのために、電波のロスを減らすための研究をしたいと考えている。従来の情報工学の視点のみならず、地球上の生物や遺伝子情報が持つ電波のロスを減らすための性質を学際的に研究するため、情報工学の研究者のみならず分子生物学や編集工学の研究者も含めた10名程度のチームで運用したい。年次計画としては、一年目に分子生物学の研究者五名と、編集工学の研究者二名で、地球上のおおよそ考えうる情報伝達能力をもっている全ての生物の持つメカニズムを抽象化して分類し、ついで二年目に三名の情報工学の専門家がそれを一つ一つ試行し、三年目には衛星として飛ばすだけで国家レベルでのインターネット回線の欠如を打破できるような電波発生器の実用化へと歩み出したい。

解決策の吟味……その解決策と他の解決策を比較したらどうか? 利害関係者はいるか?

他の解決策との比較→こうした解決策は、政治的プロセスを経てフリーWi-Fiを敷設する場合と比較し、情報規制などが掛かる可能性も少なく、かつ低予算で実行できる可能性が高い。
利害関係者検討→また、周辺国の安全保障の確立にも寄与する。

 結論→よって、私達は国際政治の安定化を図るためにも、このような取り組みを強く推し進めていくべきである。

 という順番になるように書き、それぞれに指定された要素を練り込みましょう。

 (4)については字数的に、結論・根拠・具体例の順で書きましょう。

結論……SFC生になにを学ばせたいか?
 
結論→私は、このプロジェクトを進めるにあたって、独裁国家における開発経済の授業履修を構成員に対し、必須にするべきであると考える。

根拠…‥それはなぜか?

根拠→なぜなら、そうした授業を受けることによって、このプロジェクトが持つ「発展途上国での情報の非対称性の改善」という機能が持つ国際経済・国際政治の文脈からの意味がわかるためである。

具体例……具体的にはどのような事例からそう考えたか?

具体例→具体的には、キューバなどの共産主義国において、インターネットによる情報の自由化によってどのような影響があったかなどを学ぶことが、今後の研究へのモチベーションとなりうる。

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