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年中無休の家庭教師 毎日学習会

慶應義塾大学 経済学部 小論文 2007年 過去問

2007年 慶應義塾大学 経済学部 小論文 課題文

次の資料を読んで設問A、Bに答えなさい。解答は解答用紙の所定の欄に横書きで記入しなさい。

[資料1]

 図1から図3は、GO/NO-GO実験というものの結果を表しています。GO/NO-GO実験とは次の三段階から成り立っています。まず第一段階は「赤いランプがついたらゴム球を握って下さい。そして、すぐ離してください」という約束ごとを子供たちに理解させた上で、赤いランプを呈示します。そして第二段階は「今度は赤、黄色の二種類のランプがつきます。赤いランプがついたらゴム球を握ってください。黄色いランプでは握らないでください」という約束ごとを、前と同じように子供たちに理解させた上で、赤いランプと黄色いランプを不規則に呈示します。そして第三段階は「今度は逆です。黄色いランプがついたらゴム球を握ってください。赤いランプでは握らないでください」といった約束ごとを理解させ、赤いランプと黄色いランプを不規則に呈示します。

 この実験によって子供の大脳活動の発達状況を次の三つの型に分類します。

 <不活発型>の特徴は、「赤いランプのときはゴム球を握って、黄色いランプの時はゴム球を握らないんだよ」と説明すると、最初は「わかった!」と言います。ところが実験がはじまると赤いランプで握るのを忘れたり、黄色いランプで握ってしまったりします。子供によっては、実験途中に立ち歩いたりする子もいます。これは大脳の発達が不十分な幼児期に多い型です。

 <興奮型>の特徴は、赤いランプでは正しく握っていますが、黄色は握ってはいけないことを知っていながら、気がつけば握ってしまうというものです。これは脳の発達段階では大切な反応で、脳はこの興奮過程を経て抑制過程も備わっていくと考えられています。

 <活発型>は、どの実験段階についてもほとんど間違いがありません。この活発型は、他の型に比べて完成度が高く、大人に多く見られるタイプです。子供は成長するにしたがって、この型が増加していくということがわかっています。

 通常は<不活発型>から<活発型>へと型を変えながら、紅余曲折を経て大人になっていく過程を踏むとされています

資料2

 日本の社会は、あらゆるものが発達し、現代化に伴って生活は非常に便利に、そして快適になった反面、非常に大切な人と人のふれあいまで過去に置き去りにしてしまったように思います。人と人のふれあいは、ある意味では運動やスポーツに似ています。運動をする前は何となく億却なのですが、運動をして汗をかくと荻快な気分になります。これは、運動することによって血液や脳の新陳代謝が促され、ドーパミンとセロトニンの分泌が増し、ベータエンドルフィンという麻薬物質が血液中を駆け巡り、気分が高揚するからです。人と人のふれあいにもこの運動と同じようなことがいえると思います。

 人と知り合う前は何となく気が重いのですが、会ってみて意気投合すると、こんなに楽しいことはないと思います。大好きな恋人とデートする時も、おそらくドーパミンとセロトニンの分泌が増し、ベータエンドルフィンが血液中を駆け巡っていると予想されます。

 古来からおこなわれている祭りにも、同じ側面があると思います。原住民の文化に共通して見られる癒しには、人と人のふれあいから作り出される祭りという儀式があると言われています。つまり、人と人がふれあう祭りによって感情の浄化、感情の完全発散(カタルシス)がおこなわれていたということです。私たちの身近なところでは、「阿波踊り」や「裸祭り」などの祭りがそのような役目を果たしていると考えられます。このような祭りも、人と人とがふれあって初めてその意味があり、私たちの健康にも大変重要な役割を果たしていることが、最近の研究でわかってきています。-

 しかし、その祭りも時間とお金と人間関係の煩わしさから、年々地域で姿を消しているようです。また、たとえおこなわれていても、形骸化され、中身のないものになってしまっているように思われます。(中略)*さらに家庭では、ボタン一つで洗濯機が洗い・すすぎ・脱水の全ての行程をおこなってくれます。そして手や台所を汚さなくとも、レトルト食品を電子レンジに入れると、僅か数分で食事が出来上がります。またテレビのボタンを押せば、たちまち目の前に映像が現れ、こちらが暇な時は文句も言わず何時間でもつき合ってくれます。見たくなければ、またボタンひとつで画面を簡単に目の前から消すことができるのです。こうして、苦労して自分の手足を使うことなく、黙って何もしなくても、何でも思いのままに、瞬時に目的が達成できてしまう状況に我々は生きていることになります。これが今の日本の姿なのだと私は思います。運動しなくなり、人と人とのふれあいがなくなるという状況に加えて、苦労せずして何でも手に入る便利な現代化が、日本の子どもの前頭葉をますます運動不足の状態にしてしまっているように思えます。

(資料1は『子どもの脳に生きる力を』寺沢宏次著2001年(オフィス・エム)に基づいて作成したものである。資料2は同書から抜粋したものである。)。

[設問]

A 資料1で示されている実験の方法、およびその結果を示した三つの図から、1969年と1979年の間で、子どもの脳の発達過程に関してどのような変化がおきたかを300字以内で説明しなさい。

B 設問Aであなたが答えた1969年から1979年への変化の傾向は現在でも同様に続いていると思うか、あるいは続いていないと思うか、資料2を参考にしてあなたの意見を述べなさい。これに対して何らかの社会的方策が必要であると考えるときは、その方策を具体的に述べなさい。もし何の方策も必要でないと考える場合には、その理由を述べなさい。以上を300字以内で解答しなさい。

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