慶應義塾大学SFC 総合政策学部 英語 2014年 大問一 語法三択問題

■ 第2段落
2:1 しかし,これだけよく言及するものにしては,常識は驚くほどにつかみにくいものなのである。
2:1 For something we refer to so often, however, common sense is surprisingly hard to pin down.
2:2 おおざっぱに言って,常識とは,私たちが生涯にわたって,日常的な場面を処理するうちに蓄積していく,緩やかにまとまった一連の事実や,観察,経験,知恵のピ―スである。
2:2 Roughly speaking, it is the loosely organized set of facts, observations, experiences, and pieces of wisdom that each of us accumulates over a lifetime in the course of dealing with everyday situations.
2:3 それ以上となると,常識は安易な分類に抵抗を示すことが多い。
2:3 Beyond that, it tends to [1](1. assist 2. resist 3. facilitate) easy classification.
・解答 [1]―2
>[1]設問部分は「それ以上となると,常識は安易な分類に(    )することが多い」という意味。先行する文にRoughly speaking「おおざっぱに言えば」とあるので,ここは「おおざっぱでない言い方」に関する言及であると読み取れる。また,この段の第1文に「(常識は)驚くほどつかみにくい」とあることから,「簡単にはいかない」と続くことが予測される。選択肢はそれぞれ,1は「助力する」,2は「抵抗する」,3は「促進する」という意味だから,そのような文意になっているのは2であるとわかる。他の選択肢だと,正反対の意味になってしまう。

■ 第3段落
3:1 しかし常識には,科学や数学といった他種の人間の知識と差異を設けるように思われる,決定的な特徴が2つある。
3:1 However, there are two defining features of common sense that seem to differentiate it from other kinds of human knowledge like science or mathematics.
3:2 そうした特徴の第1は,形式的な知識とは異なり,常識は圧倒的に実用的なものだということである。それは,どのようにして解答を手にしたのかを思いわずらうより,問題に対する解答を提供することの方に関心を寄せる。
3:2 The first of these features is that, unlike formal knowledge, common sense is overwhelmingly practical; it is more [2](1. indifferent to 2. concerned with 3. tolerant to) providing answers to questions than in worrying about how it came by the answers.
3:3 形式的な知識とは逆に常識は世界のあり方を熟慮したりはせず,その代わりに「ただあるがまま」にそれに対処しようとする。
3:3 In contrast to formal knowledge, common sense does not reflect on the world,
・解答 [2]―2
>[2]設問部分は「常識は,どのようにして解答を手にしたのかを思いわずらうより,問題に対する解答を提供することの方に(    )する」という意味。要するに前文の「形式的な知識とは異なり,常識は圧倒的に実用的なものだ」を具体化した表現である。「どのようにして解答を手にしたのか」というのは,「解答の手段」すなわち「形式的な知識」に関する言及だから,設問部分は「実用的である」方にあたり,こちらが「常識の関心の対象である」という意味になるはずだと読み取れる。選択肢はそれぞれ,1.indiffirent to 「無関心である」,2.concerned with「~に関係する」3.tolerant to「~を許容する」

■ 第4段落
4:1 第2の特徴は,形式的な知識のもつ力は,特定の発見を一般原理によって規定される論理的な範疇へと組織化する能力の中にあるけれども,常識の力は,あらゆる具体的な状況を思いのままに処理する能力の中にある,ということである。
4:1 The second feature is that while the power of formal knowledge [3](1. does away with 2. presides over 3. resides in) its ability to organize specific findings into logical categories described by general principles, the power of common sense lies in its ability to deal with every concrete situation on its own terms.
4:2 たとえば上司の前でどんな服装をし,何を行い,何を言うかは,友人の前でどんなふるまいをするかとは違うだろうというのは常識の問題である。
4:2 For example, it is a matter of common sense that what we wear or do or say in front of our boss will be different from how we behave in front of our friends.
4:3 常識は,特定の状況の下ですべきことは何なのかを,どうしてわかっているのかがわからないままに,ただ「わかっている」のである。
4:3 Common sense just “knows” what the appropriate thing to do is in any particular situation, [4](1. without 2. upon 3. while) knowing how it knows it.
・解答 [3]―3
>[3]設問部分は「形式的な知識のもつ力は,特定の発見を一般原理によって規定される論理的な範疇へと組織する能力(    )する」という意味。「形式的知識」とは,科学や数学など,特定の具体的な内容に左右されない知識のことだから,まさに「一般原理によって規定される論理的な範疇へと組織する」働きをすることになる。選択肢はそれぞれ,1.do awey withで「〜を撤廃する」,2は preside over で「〜を取り仕切る」,3は reside in で 「〜の中にある」という意味だから,3以外に文意の通るものはない。while という逆接のあとの specific と concrete の対比に気づくかが解答のカギである。

・解答 [4]―1
>[4]設問部分は「常識は,特定の状況の下ですべきことは何なのかを,どうしてわかっているのかがわかっている(    ),ただ『わかっている」のである」という意味。 How it knows it が how common sense knows what the appropriate thing to do is 「常識がすべきことは何なのかをどうして知るのか」という意味であることを正しく把握することが先決。このことから,該当の一節が前半との対比で「手段を知ることなく(ただわかっている)」という意味になるはずだと理解できる。選択肢はそれぞれ、1は「〜しないままに」、2は「〜するときに」、3は「〜しながら」という意味だから、上記の検討に合致するのは1だとわかる。

■ 第5段落
5:1 常識は,特定の状況の下ですべきことは何なのかを,どうしてわかっているのかがわからないままに,ただ「わかっている」のである。
5:1 As remarkable as it is, common sense exhibits some mysterious traits, one of the most striking of which is how much it varies across cultures.
5:2 数年前に,経済学者と人類学者の一団が,文化が違うとどのように最後通牌業ゲ―ムという名のゲ―ムの仕方が変わるかの調査に乗り出した。
5:2 Several years ago, a group of economists and anthropologists [5](1. set out 2. put out 3 . came off) to test how different cultures play a particular kind of game, called an ultimatum game.
5:3 そのゲ―ムはおおよそ,このようなものである。
5:3 The game goes something like this: First, pick two people and give one of them $100.
5:4 次にその人は,お金を自分と相手の間で,全額からゼロまでの範囲で,分け合う話をもちかけなければならない。
5:4 That person then has to propose a split of the money between himself and the other player, ranging from offering them the whole amount to nothing at all.
5:5 次に相手は,その取引を受け入れるか,拒絶する。
5:5 The other player then gets to accept the deal or reject it.
5:6 もしも第2のプレ―ヤ―が取引を受け入れればそれぞれが提供されたものを受け取り,両者とも仲良くお別れする。
5:6 If the second player accepts the deal, they get what they were offered and both players go on their [6](1. contented 2. satisfied 3. merry) way.
5:7 しかし,相手が提案をはねつければ、どちらのプレ―ヤ―も何一つ得ることはない。だから,「最後通牌」なのだ。
5:7 But if they reject the offer, neither player gets anything; hence the ultimatum.”
・解答 [5]―1
>[5]設問部分は「数年前に、経済学者と人類学者の一団が、文化が違うとどのように最後通牌ゲ―ムという名のゲ―ムの仕方が変わるのかを調査するのに(    )した」という意味。選択肢の中で、to test…という to不定詞が続く用法をもつのは、1のset out「〜するのに着手した、試みた」だけである。よって、正解は1である。2.put out「~を消す」3.come off「行われる」3.はあくまで「(物事)が行われる」という意味で用いられ、この場合経済学者と人類学者が主語になっているため不可。

・解答 [6]―3
>[6]設問部分は「もしも第2のプレ―ヤ―が取引を受け入れれば、それぞれが提供されたものを受け取り、両者とも(    )お別れする」という意味。go on ones merry way「(その場を)離れる」という表現を知っていれば早いが、1.contented「満足した、甘んじた」、2.satisfied「満足した」、3.merry「楽しい」という意味である。この場合、第2のプレ―ヤ―は取引を受け入れればよいのであって、「満足して」いる必要はない。渋々であっても受け入れればよいのである。よって、余計な条件のない3が正解である。

■ 第6段落
6:1 工業化した社会で行われた数百回のこの実験で,研究者はすでに,大半のプレ―ヤ―が半分ずつ分けると提案し,30ドル以下の提案だとたいてい拒否されることを明らかにしてきた。
6:1 In hundreds of these experiments conducted in industrialized societies, researchers had already demonstrated that most players propose a fifty-fifty split, and offers of less than $30 are typically rejected.
6:2 経済学者はこの行動を驚くべきことだと考える。なぜなら彼らの経済合理性という標準的な概念と相容れないからである。
6:2 Economists find this behavior surprising because it [7]([1. agrees 2. conflicts 3. coincides) with their standard notion of economic rationality.
6:3 たとえ1ドルでも,推論すれば,何もないよりはましであり,だから厳密に合理的な観点からすれば,相手はゼロより高ければ,どんな提案でも受け入れるのが当然である。
6:3 Even a single dollar, the reasoning goes, is better than nothing at all, so from a strictly rational perspective, recipients ought to accept any offer above zero.
6:4 そしてこれを知っていれば,合理的な「提供者」は,最小額を提供してうまいこと切り抜けようとするのが当然である。すなわち,1ドルである。
6:4 And knowing this, rational “proposers” ought to offer the [8](1. least 2. most 3. less) they can get away with―namely, one dollar.
6:5 当然,少し考えればなぜ人々が実際には違うふるまいをするのかが浮かんでくる。すなわち,ただそれが可能だからといって,有利な立場につけ込むのは,公平ではないように思われるというわけである。
6:5 Of course, a moment’s thought suggests why people play the way they do―namely that it doesn’t seem fair to [9](1. damage 2. jeopardize 3. exploit) a situation just because you can.
6:6 それゆえに,3分の1に満たない額を提示された相手は,弱みにつけ込まれたと感じ,だからたとえ相当の金額であってもけち臭い提供者に教えを垂らしてやるために,その場を立ち去る方を選ぶのである。
6:6 Recipients being offered less than a third, therefore, feel taken advantage of and so opt to walk away from even a substantial sum of money in order to teach miserly proposers a [10](1. reason 2. lesson 3. fact) .
6:7 そして,この反応を予期しているがゆえに,提供者は,相手が公平な分配だと考えると想定するだけの額を提供することが多い。
6:7 And anticipating this response, proposers tend to offer what they assume the recipient will consider a fair split.
・解答 [7]―2
>[7]設問部分は「経済学者はこの行動を驚くべきことだと考える。なぜなら彼らの経済合理性という標準的な概念と(    )からである」という意味。「驚くべき」なのは、「想定していることと矛盾する」からだと読み取れる。選択肢はそれぞれ、1.agree「合致する」、2.conflict「相容れない」、3.coincide「一致する」という意味だから、「矛盾する」という意味になるのは2であるとわかる。

・解答 [8]―1
>[8]設問部分は「相手はゼロより高ければ、どんな提案でも受け入れるのが当然である。そしてこれを知っていれば、合理的な「提供者」は、うまいこと切り抜けられるうちで、(    )を提供しようとするのが当然である」という意味。よって、空所には「最小額」と入れればよいとわかる。選択肢はそれぞれ、1.least「最小限」、2.most「最大限」、3.less「より少ない」という意味だから、1が正解である。

・解答 [9]―3
>[9]設問部分は「ただそれが可能だからといって、有利な立場を(    )するのは、公平ではないように思われる」という意味。不公平となるのは「有利な立場を利用する」からであろう。選択肢はそれぞれ、1.damage「損なう」、2.jeopardize「危険にさらす」、3.exploit「利用する」という意味だから正解は3だとわかる。

・解答 [10]―2
>[10]設問部分は「3分の1に満たない額を提示された相手は、弱みにつけ込まれたと感じ,だからたとえ相当の金額であっても,けち臭い提供者に(    )を教えてやるために,その場を立ち去る方を選ぶ」という意。悪いことをした相手に教えてやるのだから,それは「そういうことをしてはいけないという教え」である。選択肢はそれぞれ,1.reason「理由」2.lesson「訓戒」,3.fact「事実」という意味だから,そのような意味になるのは2だとわかる。

■ 第7段落
7:1 もしもこのような洞察に対するあなたの反応が,経済学者はもう少し世間を見た方がいいというものなら,それはおひとりだけの考えではない。
7:1 If your reaction to this insight is that economists need to get out a little more, then you’re not alone.
7:2 何か常識らしきものがあるとするなら,それは人間はお金だけでなく,公平さにも配慮するということなのだ。
7:2 If anything seems like common sense, it’s that people care about fairness as well as money.
7:3 しかし,同じ実験を5大陸にまたがる工業化以前の15の社会で再現してみると,社会が違えば何が公平なのかにかかわる考え方も大いに違うことがわかった。
7:3 But when the experimenters replicated the game in fifteen preindustrial societies across five continents, they found that people in different societies have very different ideas about what [11](1. reveals 2. counts 3. exhibits) as fair.
7:4 一方の極では,ペル―のマチゲンガ族は総額のたった4分の1だけを提供することが多く,提示が拒絶されることはほとんどなかった。
7:4 At one extreme, the Machiguenga tribe of Peru tended to offer only about a quarter of the total amount, and virtually no offers were refused.
7:5 反対の極では,パプアニユ―ギニアのグナウ族は半分ずつよりさらによい提示をすることが多いけれど驚くべきことにこうした「超公平」な提示も不公平な提示と同じ頻度で拒否されることが多かった。
7:5 At the other extreme, the Gnau tribe of Papua New Guinea tended to make offers that were even better than fifty­fifty, but [12](1. logically 2. Obviously 3 . surprisingly) these “ hyper fair” offers tended to get rejected just as frequently as unfair offers.
・解答 [11]―2
>[11]設問部分は「社会が違えば何が公平だと(    )するかにかかわる考え方も大いに違う」という意味。選択肢はそれぞれ,1.reveal「明らかにする」,2.count「みなされる」,3.exhibit「展示する」という意味であるが,1のrevealは他動詞で,ここに入れることはできないし,3のexhibitが自動詞の場合に使われる前置詞はin, atなので,文法的な知識だけでも正解は2となる。ただしcount as(for)〜「〜であるとみなされる」は, 必修表現の一つ。

・解答 [12]―3
>[12]設問部分は「(    ), 『超公平」な提示も不公平な提示と同じ頻 度で拒否されることが多かった」という意味。「超公平」も「不公平」も 差がない, といわれたら, それは予想外の出来事だと考えられる。選択肢 はそれぞれ, 1.logically「論理的には」, 2.obviosly「明白に」, 3surprisingly「驚くべきこと に」という意味だから, 正解は3だとわかる。

■ 第8段落
8:1 こうした差異はどう説明できるのだろう。
8:1 What explains these differences?
8:2 実は,グナウ族には贈答の慣行があり,それによって,贈与を受けると将来のある時点で贈り主に返礼をする義務を負うことになる。
8:2 As it turns out, the Gnau tribe had customs of gift exchange, according to which receiving a gift [13](1. obligates 2. expects 3. persuades) the receiver to reciprocate at some point in the future.
8:3 グナウ族の社会には,最後通牌ゲ―ムに相当するものはないのだから,彼らはそのなじみのない交易を,考えられる限り最も類似した社会的な交換上にただ位置づけ,それがたまたま贈答となり,それに応じた反応をしたのだった。
8:3 Because there was no equivalent of the ultimatum game in the Gnau society, they simply “mapped” the unfamiliar interaction onto the most similar social exchange they could think of―which happened to be gift exchange―and responded [14](1. casually 2. belatedly 3 accordingly) .
8:4 こうして,西洋の被験者からすればタダでもらえそうに見えたお金が,グナウ族の被験者にとっては望ましからぬ義務にきわめて近いものに見えたのだった。
8:4 Thus what might have seemed like free money to a Western participant looked to a Gnau participant very much like an [15](1. unearned 2. unwanted 3. unpredicted) obligation.
8:5 逆に,マチゲンガ族の暮らす社会では,誠実さの期待を帯びている関係の絆は,直接の家族の間にあるだけである。
8:5 The Machiguenga, by contrast, live in a society in which the only relationship bonds that carry any expectation of loyalty are with immediate family members.
8:6 それゆえ,見知らぬ人と最後通牌業ゲ―ムをするとき,マチゲンガ族の被験者は,ここでもまたなじみのないものをおなじみのものの上に位置づけて,公平な提示をする義務を感じることはほとんどないし,明らかに不平等な分配の提示を受けたとき西洋人の被験者に沸き上がるであろう怒りを経験することもほとんどなかったのである。
8:6 When playing the ultimatum game with a stranger, therefore, Machiguenga participants―again mapping the unfamiliar onto the familiar―saw little obligation to make fair offers, and experienced very little of the [16](1. resentment 2. contentment 3. euphemism) that would well up in a Western player upon being presented with a split that was patently unequal.
8:7 彼らにとっては,低額の提示でさえいい話に見えたのだった。
8:7 To them, even low offers were seen as a good deal.
・解答 [13]―1
>[13]設問部分は「それによって, 贈与を受けることが, 受贈者に, 将来 のある時点で贈り主に返礼をするように (    ) する」という意味。 gift exchangeより,「贈与を受ければ,お返ししなければならない」という意味になるべき。日本人でも同じなので,わかりやすい概念だろう。選択肢はそれぞれ,1.obligate「義務づける」,2.expect「期待する」,3.persuade「説得する」という意味だから,上記の検討にふさわしいものは1であるとわかる。8:2 reciprocate「~に返礼する」

・解答 [14]―3
>[14]設問部分は「グナウ族の社会には,最後通牌業ゲ―ムに相当するものはないのだから,彼らはそのなじみのない交易を,考えられる限り最も類似した社会的な交換上にただ位置づけ,それがたまたま贈答だったのであり,そして(    )反応した」という意味。「実際にはない交易に対して,それに最も近い事態を想定した」のだから,「『その事態に応じた」反応を示した」という意味にすれば,文意が通じる。選択肢はそれぞれ,1.casually「何気なく」,2.belatedly「遅まきながら」,3.accordingly「それに応じて」という意味だから,正解は3だとわかる。8:3 mapped「~を設計する、位置づける」

・解答 [15]―2
>[15]設問部分は「こうして,西洋の被験者からすればタダでもらえそうに見えたお金がグナウ族の被験者にとっては,(    )な義務にきわめて近いものに見えたのだった」という意味。前段のグナウ族の人々の「不可解」な反応が実は,彼らにとっては合理的な反応だったことを説明する文になるのだから,「気に入らない」義務といった意味になるはずだと読み取れる。選択肢はそれぞれ,1.unearn「労せずして得た」,2.unwant「望ましからぬ」,3.unpredict「予想されていない」という意味だから,上記の検討から正解は2だとわかる。

・解答 [16]―1
>[16]設問部分は「マチゲンガ族の被験者は,ここでもまたなじみのないものをおなじみのものの上に位置づけて,公平な提示をする義務を感じることはほとんどないし,明らかに不平等な分配の提示を受けたとき西洋人の被験者に沸き上がるであろう(    )を経験することもほとんどなかった」という意味。「不平等な分配を受けた西洋人が感じるもの」なので「不快,立腹,憤怒」といったものだと予想できる。選択肢はそれぞれ1.resentment「怒り」,2.contentment「満足」,3.euphemism「姉曲表現」という意味だから,正解は1に決まる。

■ 第9段落
9:1 グナウ族とマチゲンガ族の文化のこうした特徴を理解するやいなや彼らの不可解な行動は,すっかり合理的に,それどころか,常識的だとさえ思えるようになる。
9:1 Once you understand these features of Gnau and Machiguenga cultures, their puzzling behavior starts to seem entirely reasonable―commonsense, even.
9:2 また,正しくその通りだったのである。
9:2 And that’s exactly what it was.
9:3 私たちが公平や互恵を自分の世界での常識的な原理であると考え,一般に尊重すべきだとしているのとちょうど同じように,工業化前の社会の人々にも,社会のあるべき仕組みに関して,彼ら独特の一定の暗黙の了解がある。
9:3 Just as we regard fairness and reciprocity as commonsense principles in our world that should be respected in general, so the people of the preindustrial societies have their own [17](1. immature 2. explicit 3. implicit) set of understandings about how the world is supposed to work.
9:4 こうした了解は私たちのものとは違っているかもしれない。
9:4 Those understandings might be different from ours.
9:5 しかしそれを受け入れてしまうやいなや,彼らの常識的な論理は私たちの論理と全く同じように機能するのである。
9:5 But once they have been accepted, their commonsense logic works in exactly the same way as ours does.
・解答 [17]―3
>「17]設問部分は「私たちが公平や互恵を自分の世界で常識的な原理であると考え,一般に尊重すべきだとしているのとちょうど同じように,工業化前の社会の人々にも,社会のあるべき仕組みに関して,彼ら独特の一定の(    )な了解がある」という意味。「私たちの社会にある公平,互恵といった原理」は,社会の中のどのような原理なのかを第1・4段を参考に考える。お互い同士で,いちいち「公平,互恵」などを確認しなくても,社会の中で自然にそうした尺度に従った行動がなされていくのである。そうした原理は,不文律をなしていると言えるだろう。選択肢はそれぞれ1.immutual「未熟な」,2.explicit「明示的な」,3.implicit「暗黙の」という意味だから,上記の検討にふさわしいのは,3であるとわかる。「工業化前だから未熟だ」などと,即断してはいけない。

■ 第10段落
10:1 What these results reveal is that common sense is “common” only to the [18](1. extent 2. end 3. level) that two people share sufficiently similar social and cultural experiences.
10:2 別言すれば,常識は社会学者のハリ―=コリンズの言う「集団的な暗黙知」に依存しているのであり,それはその社会の社会的規範,慣習,慣行の中に符号化されているということなのである。
10:2 Common sense, in other words, depends on what the sociologist Harry Collins calls “collective tacit knowledge,”meaning that it is encoded in the social norms, customs, and practices of the world.
10:3 コリンズ氏によればこの種の知識は,社会それ自体に加わって初めて習得できるものなのである。
10:3 According to Collins, this type of knowledge can be learned only by participating in society itself.
・解答 [18]―1
>[18]設問部分は「こうした成果が明らかにしているのは,2人の人間がほとんど同じ社会的,文化的経験を十分共有している(    )で初めて常識は『常」識になるということである」という意味。 to the extent that SV=as far as SV 「SVである程度まで一SVである限り」という必 修表現の知識が問われている。 only to the extent that … は「〜である限り,そうであってはじめて…」という意味になる。

■ 第11段落
11:1 常識は社会の中に埋め込まれたものだという性質から来る最も重要な帰結の一つは,常識の問題をめぐる争いは,きわめて解決しづらいということである。
11:1 One of the most important consequences of the socially [19](1. demanded 2. employed 3. embedded) nature of common sense is that disagreements over matters of common sense can be extremely difficult to resolve.
11:2 アメリカの文化人類学者クリフォ―ド=ギアツはジャワの魔術研究の中で「ジャワの男の子の家族が全員私に,うちの子が木から落ちて足を折ったのは,うっかり何か儀礼上の義務を見逃したせいで,亡くなった祖父の霊がうちの子を落としたからだと語るとき,彼らは本当にそういうことが起きたのだと思っているのであり,それしか起きはしなかったのだと思っているのであって,だから彼らがとまどっているのは,自分たちにとまどいのないことに私がとまどっているからにすぎない」と,とりわけ言及したのだった。
11:2 The American anthropologist Clifford Geertz noted in his study of witchcraft in Java that “when the whole family of a Javanese boy tells me that the reason he has fallen out of a tree and broken his leg is that the spirit of his deceased grandfather pushed him out because some ritual duty has been inadvertently overlooked, it is precisely what they think has occurred, it is all they think has occurred, and they are puzzled only at my puzzlement at their lack of puzzlement.”
11:3 別言すれば,常識の問題をめぐる争いが解決しにくいのは,どんな理由に基づけば筋の通った議論ができるのかさえもどちらの側にも明らかでないからなのである。
11:3 Disagreements over matters of common sense, [20](1. however 2, in other words 3, by the way) , are hard to resolve because its unclear to either side on what grounds one can even conduct a reasonable argument.
・解答 [19]―3
>[19]設問部分は「常識は社会的に(    )されたものだという性質が生む最も重要な結末の一つは,常識の問題をめぐる争いは,きわめて解決しづらいということである」という意味。常識問題が解決しづらいのは,これまで,特に第10段第2・3文で述べられてきたように,それが「社会とは切り離せないもの」だからである。選択肢はそれぞれ,1.demanded「要求される」,2.exploited「使われる」,3.embeded「埋め込まれた」という意味だから「社会と切り離せない」という意味になるのは3しかない。

・解答 [20]―2
>[20]設問部分は「(    ),常識の問題をめぐる争いが解決しにくいのはどんな理由に基づけば筋の通った議論ができるのかさえもどちらの側にも明らかでないからなのである」という意味。前文までの記述と,この結びの記述の論理的な関係が問われている。前半部分の「常識の問題を巡る争いが解決しにくいのは」は,同段第1文の後半と同じ内容になっており,becauseの後には,第1文では帰結の原因として述べられている内容が理由として示されている。選択肢はそれぞれ,1.however「しかしながら」,2.in other ward「別言すれば」,3.by the way「ところで」という意味。ここでは,第1文と同じ内容を別の言い方で表しているのだから2が正解。




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