千葉大学 教育学部 2003年 小論文1 解答例

v0k03110

 

  • 設問

設問1

次のページの図を見てください。図1と図2は、1979年と1997年の二度にわたって高校生を対象に行われた調査の結果です。図1は、母親の学歴別に「授業がきっかけになって、さらに詳しいことを知りたくなることがある」と答えた高校生の割合を1979年と1997年とで比較したもの、図2は、母親の学歴別に「落第しない程度の成績をとっていればいいと思う」と答えた高校生の割合を1979年と1997年とで比較したものです。この2つの図から読み取れる事実を400字以内で客観的に記述しなさい。

 

設問2

設問1. で答えた現象がなぜ生じたのか、その原因として考えられることを具体的かつ論理的に400字以内で述べなさい。

 

設問3

二つの図から読み取れたことをふまえて、これからの学校教育はどんな方向を目指すべきか、あなたの考えを具体的かつ論理的に400字以内で述べなさい。

 

  • 答案構成

設問1

母親の学歴と子供の学習意欲について、はじめに結論・総論を述べる。次にその結論に至った理由として図からわかることを具体例を交えながら述べれば良い。

 

設問2

設問1で推測される現象について、その原因を結論としてはじめに述べてそのあとに、その根拠を述べる。

 

設問3

はじめに問題整理・問題発見として主に設問1で書いたこと、次にその原因として設問2で書いたことを簡潔にまとめる。そして、その解決策を述べたうえで、吟味を行う。一例として今回は、「ゆとり教育」における競争的価値観の批判に着目した。さらに、解決策の吟味にあたっては、現在の学校教育で問題となっている、暗記ばかり課す点を意識した。同時に、母親が子供に多く触れて子供の教育を担うという前提に対しても一言を付した。

 

 

 

  • 答案例

設問1

  1. 総論・結論

図1および図2からは、母親の学歴が高いほど子供の学習意欲が高いという相関関係が最近特に顕著であると分かる。そして高学歴の母親のもとには、学習意欲の高い子供、そうではない母親のもとには学習意欲がそれほど高くない子供が育つという教育における格差が固定化されている。

 

  1. 根拠

はじめに、二つの図における質問はそれぞれ子供の学習意欲を尋ねるものである。つまり、図1における質問は学習意欲の高い子供、図2における質問は学習意欲がそれほど高くない子供の割合を反映している。そして、1997年の調査においては、母親の学歴が、中卒、高卒、短大・高専卒、4大卒と高くなるほど子供の学習意欲も高くなっている。1979年の調査においても、母親の学歴が中卒と4大卒の場合を比べると学習意欲の相関関係が存在するが、短大・高専卒と4大卒においてはこのような関係はみられない。むしろ、母親の学歴と子供の学習意欲の相関性は近年になって顕著になっている。

 

 

 

図1および図2からは、母親の学歴が高いほど子供の学習意欲が高いという相関関係が最近特に顕著であると分かる。そして高学歴の母親のもとには、学習意欲の高い子供、そうではない母親のもとには学習意欲がそれほど高くない子供が育つという教育における格差が固定化されている。はじめに、二つの図における質問はそれぞれ子供の学習意欲を尋ねるものである。つまり、図1における質問は学習意欲の高い子供、図2における質問は学習意欲がそれほど高くない子供の割合を反映している。そして、1997年の調査においては、母親の学歴が、中卒、高卒、短大・高専卒、4大卒と高くなるほど子供の学習意欲も高くなっている。1979年の調査においても、母親の学歴が中卒と4大卒の場合を比べると学習意欲の相関関係が存在するが、短大・高専卒と4大卒においてはこのような関係はみられない。むしろ、母親の学歴と子供の学習意欲の相関性は近年になって顕著になっている。(399字)

 

 

設問2

  1. 結論

設問1で述べたような教育格差の固定化には1980年代から「ゆとり教育」と呼ばれるような、子供の意欲を重視し、競争を否定的にとらえた教育が順次導入されたことが考えられる。

 

  1. 根拠

つまり、一般的に母親は子供が最も接することの多い人間である。そして、高学歴の母親と日常的に接する子供は会話や蔵書をはじめ様々な場面でその文化資本に触れるともに、学業の重要さを教育されることが多いのに対して、学歴が高くない母親を通して豊富な文化資本に触れる機会は比較的少ない。さらに、「ゆとり教育」が子供の意欲を重視し競争に批判的であるために、学習意欲の低い子供が学業へのモチベーションを保てないのに対して、学、習意欲の高い子供ほど学生の自主性を尊重する「ゆとり教育」の恩恵にあずかることができる。そのために、家庭環境によって生じた子供の学習意欲の差を教育によって是正することができないのである。

 

 

設問1で述べたような教育格差の固定化には1980年代から「ゆとり教育」と呼ばれるような、子供の意欲を重視し、競争を否定的にとらえた教育が順次導入されたことが考えられる。つまり、一般的に母親は子供が最も接することの多い人間である。そして、高学歴の母親と日常的に接する子供は会話や蔵書をはじめ様々な場面でその文化資本に触れるともに、学業の重要さを教育されることが多いのに対して、学歴が高くない母親を通して豊富な文化資本に触れる機会は比較的少ない。さらに、「ゆとり教育」が子供の意欲を重視し競争に批判的であるために、学習意欲の低い子供が学業へのモチベーションを保てないのに対して、学、習意欲の高い子供ほど学生の自主性を尊重する「ゆとり教育」の恩恵にあずかることができる。そのために、家庭環境によって生じた子供の学習意欲の差を教育によって是正することができないのである。(378字)

 

 

 

設問3

  1. 問題整理と問題発見

二つの図からは母親の学歴によって子供の学習意欲が大きく変わるということが分かる。

 

  1. 原因

そして、このことの原因として、「ゆとり教育」が生徒の意欲を重視するあまり家庭環境によって生じた子供の学習意欲の差そのものにアプローチする術を持たず、さらにはその差を埋めるための競争という契機を否定していることが考えられる。

 

  1. 解決策

このことに対して私は、学校教育に競争的価値観を再び導入することが良いと考える。つまり、たくさんの知識を得るための動機づけとしてテストをはじめ様々な方法で生徒を評価する機会を増やすことである。

 

  1. 解決策の吟味

ただし、単純に競争させるだけではなく学習欲を刺激するという目的のためには、暗記で終わらずに自ら考える力を問うような内容の試験や課題を課さなければならない。また、子供が継続して学習意欲をもつことができるように、母親だけでなく父親も子供の教育により参加するような機会を学校が設ける必要もある。

 

 

 

二つの図からは母親の学歴によって子供の学習意欲が大きく変わるということが分かる。そして、このことの原因として、「ゆとり教育」が生徒の意欲を重視するあまり家庭環境によって生じた子供の学習意欲の差そのものにアプローチする術を持たず、さらにはその差を埋めるための競争という契機を否定していることが考えられる。このことに対して私は、学校教育に競争的価値観を再び導入することが良いと考える。つまり、たくさんの知識を得るための動機づけとしてテストをはじめ様々な方法で生徒を評価する機会を増やすことである。ただし、単純に競争させるだけではなく学習欲を刺激するという目的のためには、暗記で終わらずに自ら考える力を問うような内容の試験や課題を課さなければならない。また、子供が継続して学習意欲をもつことができるように、母親だけでなく父親も子供の教育により参加するような機会を学校が設ける必要もある。(390字)

 

 

 

小論文に関するご相談・10日間無料添削はこちらから

「小論文、どう書けばいいかわからない……」「小論文、添削してくれる人がいない……」という方は、こちらからご相談ください。
(記事執筆者が相談対応させていただきます!)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です