慶應義塾大学法学部 2015年 小論文 解説

慶應義塾大学法学部 2015年 小論文解説

=問題文=

次の文章は「生物多様性」を題材に論じたものである。筆者の議論を四百字程度 でまとめ、人間社会における関係価値について具体例を挙げながら論じなさい。

=問題の解き方=

1. 議論の整理
・ 共通の前提 ……生物学者が生物保全の重要性を訴える中、生物多様性という言葉が社会的関心 を引き、生物多様性条約の締結に至ったが、こには問題があった。
・ それぞれの相違点 ……まず、生物多様性についての二つの考え方の対立が大きな問題となった。まず 第一には、生物多様性の「保全」を目的とする考え方があった。一方で、生物多様 性の「利用」を目的にそれを各々の国が所有する資源とみなす考えとの間にねじれ が生じた。こうしたねじれは、今日では市場原理による生物多様性の保全と利用が 積極的になされ、生物多様性が商品と位置づけられる一方で、生物多様性と非経済 的に関わっていた地域の役割が過小評価されるという形で顕在化している。 だが一方で、生物多様性の保全について、地域社会は今まで大きな役割を果たし てきた。我々と生物多様性との関係においては、保全の担い手としての地域社会を 我々自身が支える必要があり、そのためには相互のつながりに価値を見出す関係価 値という考え方を探る必要があると筆者は述べている。
2. 問題発見 ……ここでいう関係価値とは何で、私たちはどのようにして関係価値を評価し尊重 すべきかということについて考えていきたい。
3. 原因分析 ……関係価値を形成するものは何かということを考えた時に、関係価値を形成する ものは信用であるといえる。使用価値や交換価値といった他の価値は、その時々の 使用価値やその時々の交換価値に応じて瞬時に取引することが可能であるが、関係 価値はこのような価値とは性質が異なるものである。 たとえば、高い職能を持った人材を高い報酬で雇うという取引においては、高い 職能という使用価値に対し高い報酬という交換価値を提示することでほとんど瞬時 に取引をすることが可能になる。一方、そうした人材が関係価値を大切にする人材である場合には、関係価値を形成するために長い時間を掛けて形成した信用が必要 不可欠となる。
4. 結果 ……このように実際の取引においては、使用価値と交換価値が瞬時で取引されるこ とは少なく、むしろ関係価値を媒介として使用価値と交換価値が取引されることが 多い。関係価値は使用価値と交換価値の交換の際にも欠くべからざる要素であり、 その価値はより高いものとして認められるべきである。
5. 結果の吟味 ……また、このような関係価値に心を配ることで、使用価値と交換価値の取引にも 良い影響を及ぼすことから、これらの価値が相反するものではなく、相互作用する ものであることをここで付け加えたい。

=模範解答=

生物学者が生物保全の重要性を訴える中、生物多様性という言葉が社会的関心を 引き、生物多様性条約の締結に至ったが、こには問題があった。 まず、生物多様性についての二つの考え方の対立が大きな問題となった。まず第 一には、生物多様性の「保全」を目的とする考え方があった。一方で、生物多様性 の「利用」を目的にそれを各々の国が所有する資源とみなす考えとの間にねじれが 生じた。こうしたねじれは、今日では市場原理による生物多様性の保全と利用が積 極的になされ、生物多様性が商品と位置づけられる一方で、生物多様性と非経済的 に関わっていた地域の役割が過小評価されるという形で顕在化している。 だが一方で、生物多様性の保全について、地域社会は今まで大きな役割を果たし てきた。我々と生物多様性との関係においては、保全の担い手としての地域社会を 我々自身が支える必要があり、そのためには相互のつながりに価値を見出す関係価 値という考え方を探る必要があると筆者は述べている。 ここでいう関係価値とは何で、私たちはどのようにして関係価値を評価し尊重す べきかということについて考えていきたい。 関係価値を形成するものは何かということを考えた時に、関係価値を形成するも のは信用であるといえる。使用価値や交換価値といった他の価値は、その時々の使 用価値やその時々の交換価値に応じて瞬時に取引することが可能であるが、関係価 値はこのような価値とは性質が異なるものである。 たとえば、高い職能を持った人材を高い報酬で雇うという取引においては、高い 職能という使用価値に対し高い報酬という交換価値を提示することでほとんど瞬時 に取引をすることが可能になる。一方、そうした人材が関係価値を大切にする人材 である場合には、関係価値を形成するために長い時間を掛けて形成した信用が必要 不可欠となる。 このように実際の取引においては、使用価値と交換価値が瞬時で取引されること は少なく、むしろ関係価値を媒介として使用価値と交換価値が取引されることが多い。関係価値は使用価値と交換価値の交換の際にも欠くべからざる要素であり、そ の価値はより高いものとして認められるべきである。 また、このような関係価値に心を配ることで、使用価値と交換価値の取引にも良 い影響を及ぼすことから、これらの価値が相反するものではなく、相互作用するも のであることをここで付け加えたい。

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