慶應義塾大学 法学部 小論文 1996年 解説

・ 問題文
次の文章を読んで、著者のいう「擬似現実」に ついて論じなさい。
・ 問題の解き方
 5STEPsで書いていく。
・ 模範解答
議論の整理……
今日の社会においては、歴史上類を見なかったほど、「擬似現実」の重要性が高まっている。交通手段の発達で世界が狭くなったこともあるが、それ以上に通信技術の発達で、私達は自らが属していない世界をあたかも自分たちの世界として捉えることができるようになった。
問題発見……
こうした時代において生じる問題は、本来何者でもない人が、自らを一流の人間と同格の人間であると定義することである。
たとえば、以前麻生前首相がカップヌードルの値段を言えなかったり、高級なバーで飲み食いをしていることが問題になったことがある。こうしたことが問題になる背景としては、こうした社会的に一流の立場にある人物と何の所在もない自分自身が同じ格であるという自己認識によるものである。
原因分析……
そうしたネット社会の影の部分が顕著に現れたのは、オリンピック・エンブレムのデザイナーである佐野氏に対する批判である。
もちろん、佐野氏による盗作はあってはならないことであり、それ自体は多いに批判するべきだ。だが、佐野氏のあらゆるデザインに対する批評は、自らがデザイン業界の素人であるにも関わらず、そうしたテーマについて論評する資格があると考える一つの傲慢さである。
ここでは、なぜこうした傲慢さがネット社会で蔓延するのかについて述べたい。インターネットの匿名性はさらにそうした傾向を強くしていく。発言者が誰であるかが分からないがゆえに、いくらでも上から目線で対象を批評することが可能になるのだ。また、周囲でコメントを寄せるのも基本的にはインターネットの閲覧に長い時間を割くことができる社会的な地位や収入の低い人が多いために、こうした大衆的批評に、一定のかつ熱狂的な支持が集まることが事態を更にエスカレートさせる。
解決策……
こうしたネット社会の誹謗中傷がもたらすあまりにも非対称な被害について、私達は、ネットの警察を作り、政府が国民の生命・安全・財産をネット社会においても守るように働きかけるべきである。
たとえば、IPアドレスを開示し、個人を特定した上で、あまりにもひどい誹謗中傷に対しては適切な罰則を加えるなどの処罰が極めて重要である。
解決策の吟味……
このように、ネットという第二の世界において警察という暴力装置を設けることは一部の犯罪者にとっては極めて大きな損失を生むものだが、一方で多くの善良な市民にとっては日々の生活の安寧を維持するために極めて大切な仕組みだといえる。ネットという第二の世界が政府の権力が通用しない無政府状態に陥る前に、私達の政府ができることを出来る限りすべきである。

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