慶應義塾大学 法学部 小論文 1997年 解説

・ 問題文
 次の文章を読んで、生物進化論が社会科学に与 えた影響についてまとめ、あなたの考えるとこ ろを述べなさい。
・ 問題の解き方
 5STEPsで書いていく。
・ 模範解答
議論の整理……
進化論はそもそも生物学についての議論だった。だが、進化論が社会科学から派生して生まれた議論だったこともあり、進化論は社会科学の発展に深く根ざすことになった。
たとえば、チェンバレンはゲルマン民族の優秀性を理論的に明らかにするために、そうした進化論の議論を用いた社会科学の論文を発表した。チェンバレンは自らがイギリス人でありながら、ゲルマン民族の優秀性を信じて疑わず、自らドイツ人に帰化したほどの社会科学者である。帰化という言葉が、野蛮な民族が優等な民族の栄光を畏敬し、自らその民族となる道を選ぶことを原義とすることから、チェンバレンはまさしく最も模範的なな社会進化論学者であるといえよう。
問題発見……
こうした自然科学の議論に影響を受けた社会科学の中には、傾聴に値するものもあるであろうし、そうではない唾棄すべきものも当然存在する。たとえば、経済のメカニズムを数万本の連立方程式によって表現するマクロモデルは、近代経済学が世界にもたらしい自然科学と社会科学の学際的研究の中ではもっとも優れた一例であるといえよう。
つまり、唾棄すべき議論と傾聴に値する議論のその二者をいかにして分別し、我々が学際的な研究を進める上で自然科学を恣意的に社会科学に転用する誤謬に陥らないようにすることが極めて大切である。
原因分析……
社会科学が、しばしば唾棄すべき絵空事へと堕落する理由は、そうした学説が反証可能性を持たないためである。
たとえば、進化論はある動物の進化はそのようには進んでいないという反証を実証的に行うことができるが、ユダヤ人がドイツ人よりも劣っているという議論に対して、反証を実証的に行うことはほとんど困難である。
こうした議論は社会科学の他の分野においても見られる。たとえば、フロイト心理学はマルクス経済学は社会ダーヴィズムと同じく反証を受け入れない議論の典型例の一つである。
解決策……
こうした議論を耳にした際は、その反証が成り立たないことを証明し、反証可能性がある議論こそが、永続的に学問的正しさの追求が出来る真の学問であるという信念のもと、こうした議論を唾棄すべきである。
解決策の吟味……
また、結局のところ反証可能性がない議論を行うのは、そうした議論を主張する人、そうした議論を批判する人双方にとって、時間を有効に使っていないことになるため、こうした議論を耳にしてもそれに対して、反証可能性を問う以外の何らかの働きかけをすべきではない。

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