慶應義塾大学 法学部 小論文 2009年 解説

・ 問題文
 以下の文章を読み、「政治的空間としての〈公共空間〉」におる責任と自由に関する著者の主張を四○○字程度でまとめなさい。そのうえで、「セキュリティー社会」についての著者の見解に対して、その是非も含めて、あなたの考えを述べなさい。
・ 問題の解き方
 5STEPsで書くべき問題。
 議論の整理を400字程度で書かなければならない問題であるため、意図せずして字数が足りなくなった場合は具体例を補充して400字程度まで水増しする必要がある。
・ 模範解答
議論の整理……
筆者は、現代人の問題は、その政治的発言になんら政治的責任を負わなくても良い「セキュリティー社会」に属していることだと考えている。こうした社会が生み出す無責任な言論を少なくしていくためにも、我々は自らの言動に責任を持つ覚悟を固めるべきであるとしている。
問題発見……
筆者はこのように、人々は政治的発言に責任を持つべきである(少なくともその覚悟は持つべきである)という主張をしているが、こうした考え方は近代経済の分業による効率化の原則に反したものである。
また、人々は自らの政治的発言・意思になんら責任を負っていないわけではなく、そうした政治的な発言・意思は納税を行い、選挙権を行使することにより責任をもって為されている行為である。こうした責任を伴った行為をいたずらに否定するのは、自らの政治的思想が一般の選挙民の選択と乖離している者達の常套手段であることもここで付け加えたい。
原因分析……
人々に納税と投票以外の政治的責任を果たすことを求める意見は、ここで指摘しているように、自らの政治的思想と現実の選挙民の投票行動が乖離している人物から発されることが多い。
たとえば、この筆者は、一般的にはほとんど支持されていない死刑廃止論者の例を引いて、人々は政治的責任を果たすべきだと主張しているが、大方の人々はすでに納税と投票により民主主義社会の構成員としての政治的責任を十二分に果たしており、これ以上の政治的責任を果たす必要はない。
えてして、自らの意見と選挙民の選択が異なる人々は、デモ行進に代表される示威活動を民主主義だと曲解することが多いが、こうした暴力的な政治活動は民主主義社会をむしろ脅かすものである。個々の人間が自らの正義に基づいて、公務員ではない身分で刑罰を加える社会もまた同様である。
解決策……
健全な民主主義社会を永続させるため必要なのは、構成員の覚悟などではなく、構成員から暴力を振るう権利を奪い、それを執行する暴力装置としての政府・自治体の構成員の覚悟である。
解決策の吟味……
本来公務員が果たすべき責任を、自らの怠惰を棚上げにして、民間人に求めるのはあってはならないことである。民間人が納税と投票によって、公務員が自らの属する暴力装置を適切に行使することによって、その分業によってのみ民主主義社会は適切な発展を迎えることができるだろう。

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