慶應義塾大学SFC 環境情報学部 2018 小論文 解説

問題1 資料1~3の中で、あなたが一番興味深いと感じた資料はどれですか。その資料の 番号に◯をつけてください。もし、興味深いと感じた資料がなかった場合には、5 に◯をつけてください。

問題2 あなたが問題1で選んだ資料をもとに物語を創作し、解答欄2-1に書いてくださ い。物語の制作においては、あなたが選んだ資料のタイトル、短い文、そして絵が 表している世界観を大切にしてください。あなたが資料から読み取って想像した世 界を、読者が納得する筋書きに仕立ててください。その際、資料4に含まれている物 語を参考にしてかまいません。なお、解答欄2-1の詳細な物語の中に、あなたが選 んだ資料に記されている短い文を必ず全て含めてください。その短い文に必ず下線 を引いてください。 もし、問題1で選んだ番号が5である場合には、資料1-3と同じ様式であなたが独 自に考えたタイトル、短い文を解答欄2-2に記し、絵は解答欄2-3に書いてくださ い。さらに詳細な物語を解答欄2-1にかいてください。なお、詳細な物語の中に、 解答欄2-2で記した短い文を必ず全て含めてください。その短い文に必ず下線を引い てください。

問題3 あなたが問題2で創作した物語を通じて、あなたが読み手に最も強く伝えたいメ ッセージはなんですか。解答欄3に200字以内で簡潔に説明してください。

問2

選んだ資料:資料1

議論の整理…… マルタが住むイタリアの植民地圏だった北アフリカのとある国で、今もなお住み続けているイタリア人は少ない。先の大戦の時からそもそもイタリア人はドイツ人や 日本人や何かと違って、自分たちのテリトリーを拡大していこうという気はさらさ らなかったし、そんな真面目さをイタリア人に求めることは丸い穴に四角い杭を打 ち込むようなことで、そもそも現実的ではなかったのだ。そんなふうにして、この 地にいたイタリア人は一人去り、二人去り、先の大戦から七十年以上も経過した今 日ではこの彼女の親子ぐらいしかいない。

問題発見…… この親子が北アフリカのこの国に住み続け、今日もピッツァを焼き続ける理由は、 この場所に白漆喰の壁に覆われた家々によって作られた美しい街並みや、ランダム に碧く塗りくられた壁や、近代の進歩から取り残されたような街並みが気に入った から、というのが彼女が父親から聞いていたところの理由ではあったけれども、実 際のところそうではないことを彼女自身はよく分かっていた。彼女の親子は実の親 子ではないのだ。

原因分析…… 彼女が自分たちが実際の家族ではないことに薄々気づいていた。生まれたばかりの 時のおぼろげな記憶が、この家庭は自分たちの家庭ではないということを脳裏に焼 き付けていたのだ。しかし、そのことに確証を持ったきっかけは、寝静まったあと に聞こえてくるラジオの音だった。

その音は、ピッツァを焼いている厨房から聞こえた。流し台にはいつも、無造作に 並べられたかぼちゃがあり、それは時として具材となり、時としてパンプキンスー プの原料となった。だが、不思議な事に、ラジオの音はかぼちゃから聞こえた。

彼女はその日、ランダムに聞こえてくる機械的な数字の音で目が覚めた。父親はま だ寝静まっていた。急いで厨房に向かうと、ラジオは相も変わらず人間味の欠けた 声で数字を読み上げていた。いやより正しく言い直すと、「かぼちゃ」は数字を読 み上げていた。

結果…… 「そんなことやっちゃいけない」

聞き慣れた父親の声とは違う、これもまたひどく人間味のしない声が厨房に響い た。彼女がナイフをいれていくと、なんとそれはますます明るさを増していった。

その明るさは、短波ラジオに搭載されたライトによるものだった。ライトはかぼち ゃの中の丸くくり抜かれた部分を控えめに照らしていた。それまでよりもはっきり と、そして確かな声で数字が読み上げられていく。
「この数字はなんなの?」

彼女はそういい終える前に、父親は彼女が持っていたナイフを取り上げて、彼女か ら言葉を奪うように彼女の首筋を刺し続けた。

結果の吟味…… 痛みはなかった。悲しみもなかった。ただ、彼女は思い出していた。この男と自分 には血縁関係がないことを思い出していた。私達は作られた家族だったのだ。誰 に?

イタリアが手放したこの国において、それでもまだ暗然たる力を握りたいという 人々がいた。その人々はこの店に集まって来るしかなかった。なぜなら、この店は この国でたった一つのイタリアン・レストランだった。この国にたびたび訪れるイタリア人は誰もがこの店を訪れた。イタリアがこの国から手を引いてからも、イタ リアがこの国に影響力を持ち続けるためだった。「かぼちゃ」はまさにそういう 人々の声であり手であり腕であった。そのために私達の家族は「作られた」のだ。 私は「かぼちゃ」を殺そうとし、そして私は「かぼちゃ」に殺されたのだ。

問3

私がこの物語を通じて最も強く伝えたいメッセージは、本来であれば国民の生命・ 安全・財産を守ることを目的に成立した政府などの強大な権力機構が、時として国 民の生命・安全・財産を蹂躙する方向に働くということだ。なぜなら、政府が強大 化していくにつれて、政府が成立したそもそもの目的は忘れ去られ、いつしかその 機構を維持することが自己目的化するためだ。

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