慶應義塾大学 経済学部 2018年 小論文 過去問 解説

■ 問題

A.

 課題文と同じ最後通告ゲームをAさんとBさんがするとしましょう。AさんはBさんがホモ・エコノミクスかどうか知らないと仮定します。AさんがBさんに「自分に8千円、相手に2千円」という提案をしたところ、Bさんは拒否して、2人とも取り分が0円になりました。Bさんがホモ・エコノミクスがどうか論理的に説明しなさい。また、Aさんがホモ・エコノミクスかどうかは、この結果からはわかりません。なぜわからないかを論理的に説明しなさい。300字以内で記述しなさい。

B.

 市場型社会におけるフェアな分配規範とはどのようなものか、また、なぜそのような規範が発生するのか、問題文に沿って説明しなさい。さらにフェアな分配規範が定着するためには、社会の仕組みとして何が必要だと思いますか。論理的に300字以内で述べなさい。

■ 構成

A.

 共通の前提・相違点で書く形になる。

共通の前提……
ホモ・エコノミクスは、自分の利得を最大化することだけに注意を払う人間と定義される。
それぞれの相違点……
この定義によれば、Bはホモ・エコノミクスとはいえない。なぜなら、条件の交渉が出来ない中で確実に利得が得られる提案を拒否しているためである。
また、Aの提案は、ホモ・エコノミクスではないAが自分の利得の最大化とは異なる原理に則り行動した結果だといえる。だが、AはBがホモ・エコノミクスか否かを知らないので、Aの提案は、ホモ・エコノミクスであるAが、Bをホモ・エコノミクスではないと想定し、そのBが納得するとした判断した金額を示して可能な範囲で最大の利得を得ようとした結果とも解釈できる。このことから、このゲームの結果だけでは、Aがホモ・エコノミクスか否かは判断できない。

B. 

 議論の整理→問題発見→原因分析→解決策→吟味の形で書く。

議論の整理……フェアな分配規範とはなにか
ここで、フェアな分配規範とは、未知の第三者との取引が日常的に行われる市場型社会において、条件が同じであれば平等に分配されるべきという原理である。これは、万人に等しく振る舞わなければ、信頼に足る取引相手だという評判を獲得できず、長期的には取引相手として選ばれなくなるという危機感から生じる。
問題の発見……評判を操作することで不正な利益を得ようとする問題
しかし、こうした発想は一方で、評判を操作することで不当に利益を得ることができるという発想にもつながる。
原因の分析……評価情報の蓄積がないため
このような不当な行為が起こる原因は、未知の第三者に対しては評価情報の蓄積がないためである。
解決策……評価が蓄積する仕組みを作る
そこで、こうした未知の第三者に対して評価が蓄積する仕組みが必要となる。
解決策の吟味……中立な第三者の立場を利用する
こうした仕組みを運用する際には、中立な第三者によるレビューが蓄積する仕組みを作ることが大切である。

■ 答案例

A.

ホモ・エコノミクスは、自分の利得を最大化することだけに注意を払う人間と定義される。
この定義によれば、Bはホモ・エコノミクスとはいえない。なぜなら、条件の交渉が出来ない中で確実に利得が得られる提案を拒否しているためである。
また、Aの提案は、ホモ・エコノミクスではないAが自分の利得の最大化とは異なる原理に則り行動した結果だといえる。だが、Aの提案は、ホモ・エコノミクスであるAが、Bが納得するとした判断した金額を示して可能な範囲で最大の利得を得ようとした結果とも解釈できる。このことから、このゲームの結果だけでは、Aがホモ・エコノミクスか否かは判断できない。(281文字)

B.

ここで、フェアな分配規範とは、未知の第三者との取引が日常的に行われる市場型社会において、条件が同じであれば平等に分配されるべきという原理である。これは、万人に等しく振る舞わなければ、信頼に足る取引相手だという評判を獲得できず、長期的には取引相手として選ばれなくなるという危機感から生じる。
しかし、こうした発想は一方で、評判を操作することで不当に利益を得ることができるという発想にもつながる。
このような不当な行為が起こる原因は、未知の第三者に対しては評価情報の蓄積がないためである。
そこで、こうした未知の第三者に対して評価が蓄積する仕組みが必要となる。(279文字)

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