順天堂大学 医学部 2013年 小論文 解答例

2013年度 順天堂大学

・議論の整理

霧がかった丘陵地帯に、大小二頭の子馬がいる。子馬は二頭とも丘の方を見るように頭をもたげていている。子馬が何か気配を感じて後ろを振り向いているのか、たまたま同じポーズで毛づくろいをしているのかは定かではないが、霧のヴェールがかかった風景のなか、奇跡的に子馬のポーズがシンクロしているのは神秘的である。

・問題発見

本来の静寂の意味とは「静かで音のしない様」であろうが、もし実際にこの画像の場に身を置いたとすると、そこでは草原の子馬の息づかいや体温が生き生きと感じられ、風が草原を薙いでいく音が聞こえるであろう。それでもこの画像から「静寂」が感じられるとしたら、それは二頭の子馬、風、草原といった風景全体が一体となり、何にも遮られずに流れていくからではなかろうか。

この画像はイギリスの風景であるが、私はこの画像から感じられる静寂から、以前見た弓道の草鹿という儀式で感じた静寂を連想した。

・原因分析

草鹿とは鹿の形をした人形を弓で射る練習法であり、現代では儀式の体を成しているそうだ。馬上から的を射る派手な流鏑馬とは異なり、草鹿の進行は淡淡としていた。色とりどりの着物や袴を着た射手がすり足で静かに所定の場所に進み、矢をパチンと番えて、キリキリと弦音を響かせながら鹿を狙う。見事鹿に中るとボヨンとした音がして、矢が刺さる。射手が鹿を射る流れのなかでは、様々な音がするので静かとは言い難い。しかし、弓を引き絞り狙いを定め矢が飛んでいく様子は実に自然であり、観客は射手の呼吸を感じながら、射手と一体となったように固唾をのんでその様子を見守っていた。

・結論、結論の吟味

草鹿は人間の儀式であり、自然の産物ではないが、観客・射手・鹿といった風景全体の一体感と弓道そのものの流れがあり、「静寂」と呼べるものだったのではないかと思う。そして、この「静寂」は草鹿だけでなく、多くの武道に通じるものなのであり、武道が多くの人を魅了する理由の一つなのだろうかと思う。(798字)

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